Fランクダンジョンくんお役御免!
「ん~!いい朝だ!」
チュンチュンと小鳥達が鳴く声を聞きながら家の玄関で大きく伸びをする。
今日もいい天気だ。
空を見上げると雲一つない青空が広がっている。
絶好のダンジョン日和だな。
まあダンジョンの中だと天気は関係ないんだけど。
「さてと……今日もまた湿地のダンジョンに行きますか!」
***
というわけでボスの討伐の回数を増やすために朝早くから湿地のダンジョンのボス部屋までやってきた。
昨日でかなりのレベルが上がったし【MP増加】のスキルも取ったからあとはひたすらメガスライムを倒し続けるだけだ。
というわけで……
「行ってみよー!」
そう言って湿地のダンジョンまで移動してきた俺は湿地のダンジョンに足を踏み入れて一直線にボス部屋まで向かう。
途中にスライムも沼や水溜まりから飛び出して襲いかかってくるけどレベルが上がってステータスも上がった今となっては簡単に避けられる。
普通にその場にプルンと瑞々しい輝きを放って佇んでいるスライムもいたけどそこはスルーして横を通り抜けた。
そして、昨日みたいにまた階段にスライムがいるなんて事はなく、そのまますんなりとボス部屋にたどり着く。
「よし!それじゃあボス戦行くか!今日は何回倒せるかな!」
俺は意気揚々と扉が開いているボス部屋の中に入る。
そして昨日と同じようにメガスライムを倒し続けていった……ところで十回程倒した辺り。
ある問題が起こっていた。
「レベルが上がらなくなってきたな」
メガスライムを倒してもレベルが上がりにくくなってきた。
まあ単純に俺のレベルが上がりすぎて必要経験値が上がってるんだろう。
最初はハイオークを一体倒すだけで3レベル上がっていたのに、今はメガスライムを二十体ぐらい倒してようやく1レベル上がるぐらい。
「流石にこれは効率が悪すぎるな……」
MPは【MP増加】のスキルを取ったしメガスライム一体あたり【魔法矢】二回しか使わないからMPには余裕がある。
だけどレベルアップをしたいからこうしてボスのメガスライムを倒しているのに流石に二十体で1レベルは低すぎないか?
しかもこれからレベルが上がったらさらにレベルが上がりにくくなるってことだろ?
「……そろそろまたEランクのダンジョンに戻るか?」
こうなったらもっとレベルを上げるにはもっと高レベルのモンスターが出る場所に移動した方がいいな。
……あとレベルが上がりにくいっていうのもあるんだけどメガスライムの倒し方のせいで途中からの魔石の回収が不可能だったから稼ぎが少ないんだよね。
幸いにも俺は同じ遠距離武器でも銃とは違って【魔法矢】を使えるから弾代とかには困ってないから稼ぎがマイナスになってないけどそれでも生活というものがあるからな。
うん。世知辛いけどそういう意味もあるからそろそろEランクのダンジョンに戻るか。
いや、でもな……うん。
「行くのはDランクのダンジョンだな」
これから行くとしてもEランクのダンジョンではなくてDランクのダンジョン。
今いるFランクのダンジョンから二つランクの上がったダンジョンだ。
もちろんEランクのダンジョンじゃなくてDランクのダンジョンに行くのはちゃんとした理由がある。
確か俺が初めてボスをソロ討伐したハイオークは倒した時に上がったレベルは3だったはずだ。
あの時に上がったレベルが3ならいくらボスになって強化されてても今みたいにレベルが上がっているとそのうちメガスライムと同じように数体倒さなきゃいけなくなってるだろう。
流石にそれはまた今回と同じようなことになりそうだから却下。
だったら最初から多少強さに差はあってもレベルが上がりやすいダンジョンに行った方がいい。
まあ、最初の方はハイオークを倒していた時みたいに数は倒せないだろうけどそれは仕方ないか。
「となるとどこのダンジョンに行くかなんだけど……一旦ダンジョンの外に出るか」
スマホを出して調べようとしてもダンジョンの中で電波が届いてないことを思い出して【アイテムボックス】から出そうとしたスマホをしまい直す。
うん。ダンジョンの中だと電波が届かないしメガスライムも倒す必要ももう無さそうだしここにいる意味はもうなさそうだな。
ということで湿地のダンジョンに入って一時間もしないうちに来た道を戻って地上に戻る。
ダンジョンの外に出ると元から雲一つなく晴れてたのもあって日が昇ってきていて眩しい日差しが照りつけてきた。
眩しい日差しを手で遮りながらそのままの足でゆっくり出来るところに少し移動する。
「よっこいせっと。さ~てと、どこのダンジョンに行くかな」
ダンジョンの近くにあった公園の木陰のベンチに座ってスマホを取り出す。
う~ん、ここから近いDランクのダンジョンとなると……
「見事なまでにボス部屋に行くまで面倒なダンジョンばっかりだな……」
Dランクのダンジョンともなるとかなり難易度が上がってきていて出てくるモンスターの厄介さ。
そして純粋な強さもかなり強くなっている。
まだ強さが格段にはね上がるCランクダンジョンよりは全然マシだけどそれでも今の俺でもソロなのと弓を使っているのもあってこの付近のDランクのダンジョンは簡単には攻略出来ないようなダンジョンばっかりだ。
「まあ、どのみちいつかは行かなきゃだったし丁度良かったと考えるべきか」
そう考えて俺はスマホで地図アプリを開いて目的のダンジョンを探す。
条件はレベル上げのしやすい【魔法矢】が効きやすい防御力の低いモンスター。
それと俺がボスの討伐をしている姿を見られないようにするために不人気、つまり評価が低くなってるダンジョンを選ぶ。
「お、あった」
しばらくスマホの画面をスクロールし続けると、ここから電車で一時間ぐらいの場所に俺が考えてた条件に合うダンジョンがあった。
まあ家からこれからも通うとしたらちょっと遠いけどこればっかりはしょうがないな。
「今がちょうど10時ぐらいだから今から行けば昼前には着くかな」
それにこのダンジョンは駅から歩いて二十分くらいの場所にあってそこまで遠くない。
だからそこまで時間を無駄にしなくて済むからそこもポイントだな。
これからあっちに着いても一時間だから11時頃だからあっちで少しお腹に入れてからダンジョンに入ったほうがいいか。
「よし!そうと決まれば早速出発!」
そう言ってベンチから勢いよく立ち上がって駅の方に歩き出す。
目指すはDランクのダンジョン……いざ出陣!
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