文房具コーナーから始まる文通

雨虹みかん

第1話

「いつの日からか、好きという気持ちを忘れてしまった」


 ある日、学校帰りに寄った、中学校の近くにある本屋の文房具コーナーでこんなメモを見つけた。


 文房具コーナーに置かれている試し書き用の用紙に数々の殴り書きがされている中にある、今にも宙に文字が浮いて消えてしまうのではないかと思えるほど儚いその綺麗な文字に私は目を離せなくなってしまった。


 私は気が付けば、TESTERというラベルが貼られた黒のボールペンで、そのメモの下に文字を書いていた。


 「明日も生きようって思わせてくれるもの、だと思います」


 このやり取りが私の人生を動かすとは、この時はまだ知らなかった。

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