シーン7 占いの対価
占い師 三千円、いただきます。
青年 なぜです…?
占い師 あなたを占ったからですよ。
青年 これ…。お金かかるんですか…?
占い師 ええ。こちらも商売なものですからね。
青年 そんなの知りませんでしたよ、僕は…。
占い師 今さらそんなこと言われてもねえ。もう占ってしまいましたから。
青年 だって、そんなの…。何も言われなかったらわかりませんよ…。
占い師 だってあなた、何も聞かなかったでしょう?
青年 それはそうかもしれませんけどね…。
占い師 わたくしはあなたをきちんと占ったんですよ。ですからお代は頂かなくちゃいけないの。
青年 でもそれだって…。そもそもは、僕の探し物について教えてくれるはずじゃ…。
占い師 ああ、それね。もちろんわかりますよ。引き続き探してください。見つかるまでね。探し続ければ、見つかるものは見つかりますよ。探さなければね、もちろん見つかりませんよ。
青年 そんなの当たり前じゃないですか…。
占い師 当たり前のことをなさい、ということですよ。どんなに当たり前のことでもね、人は他人から言われなきゃ、なかなかできないものでしょう?
青年 そうかもしれませんけどね…。
占い師(捲し立てて)あなたはご自覚がないのかもしれませんけどね。あなた今、当たり前のことができていないんですのよ。だってあなた、わたくしに占いのお代をお支払いをしてくださらないでしょう?これはね、食い逃げのようなものなんですよ。ね?これが、当たり前のことをあなたがまだできていないという証拠じゃないですか。そうでしょう?
青年 もういいです…。わかりました…。わかりましたよ…。
しぶしぶ財布を取り出す青年。
占い師 三千円ね。
青年 わかってますよ…。はい…。
代金を支払う青年。
財布はおそらく空になる。
占い師(途端に和やかな笑顔で)ありがとうございます。わかっていただけてよかったわあ。あ、そうそう。あなたずいぶん顔色がお悪いようですからね。今日はサービスでこちらをお付けしますわ。どうぞ。
カラフルな飴玉のようなものが入った薬瓶を巾着袋から取り出し、青年に渡す占い師。
青年 なんですか…。これ…。
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