王女の独白
まれ
王女の独白
わたくしはアルフィーネ・A・アロン。
アロン王国第一王女であり王位第一継承者ですわ。
まあここでは表向きの場所ではないのだから、こんな口調をする必要もないのかもしれませんね。
今の気持ちを過去の記憶を今のうちに整理しておいたほうがよいと思いましたの。
ついでに未来にも残るように手記のように書き記しておこうかしら。
改めて自己紹介するわね。
わたくしはアルフィーネ・A・アロン。アロン王国第一王女であり王位第一継承者。齢は現在十八歳。独身。婚約者も今のところなし。普通ならいるかもしれないけれどまわりが少し過保護すぎてなかなか決まらないの。もうかれこれ四年。わたくしが悪いんじゃないかって?違うのよ。わたくしに相応しい殿方がこの世界のどこにもいないんですって。それじゃあ仕方ないわよね。わたくしのせいではないもの。おっと話が。今はね西暦二四五一年なの。場所はアロン王国王宮内の自室よ。王国の歴史をさらっと話すとね。四百年ほど前にアロン王国を初代国王が建てたの。父上で九代目ね。今のところわたくしが十代目になる予定。女王様ね。
まずはわたくしが生まれた十八年前のことから話ますわね。
わたくしはアロン王国の第二子として誕生した。あとで詳しく話しますがこのときアロン王国にはわたくしにはお兄さまがいたんですの。二歳年上の。
王族のみならず王宮いや王国中がお祭りのように騒いだらしいわ。当たり前なのだけどわたくしは記憶にしばらくないんですの。物心がついたのは四歳のころ。このころは一人でよく中庭を走り回っていましたわ。そのたびにメイドにお嬢さま危ないですって心配させていたわね。たまにお兄さまに遊んでいただいたのはよい思い出ですわ。そして五歳のころ。このごろ勉強の時間が始まりましたの。読み書きに算術。それに歴史と地理。特にアロン王国のことをみっちり。
六歳のころ、新たに世界地理と外国語、マナーが増えましたわ。そしてお兄さまが八歳という歳で隣国に留学されることになったのです。隣国に行くには山を越えなくてはなりません。馬車で何日かかるのかはわたくしにはわかりません。出発当日、お兄さまはわたくしに「良い子でいるんだぞ」とおっしゃいました。それがお兄さまからの最後の言葉になりました。亡くなったのです。死因は崖から落ちたことによる内臓破裂だそうです。ショックでした。これはあとから聞いた話なんですが、表向きは事故死となっているのですが実は山を越えるときに襲撃を受け馬車が落ちたということらしいですわ。それを誰かがもみ消した。この国にも闇があるみたいですわね。そうして第一位であったお兄さまの代わりにわたくしに第一位がきたんですの。そこから鬼のように授業や厳しくなったり周りが過保護になったのですわ。そのおかげか同年代のお友達と言える者がほとんどいないのです。別に友達ではありませんが同年代の子がもう一人いたのです。彼はエルノワ・アロン。わたくしの従弟で未来の宰相だそう。見た目はヒョロヒョロで細く頼りない少年でした。後にわたくしの性癖をさらに加速させた人物ですの。
九歳のころ、わたくしに初潮がきた。これが早いのか遅いのかは知らない。このことはメイドから聞いていた。それに伴って王宮内では大人の女性として扱われるようになった。メイドからの態度はあまり変わらなかったが男性陣の態度は面白いくらい変わった。この国のというかこの世界の成人年齢は十五歳である。世間では十五だが、家族や親族には初潮や精通がきたときから大人であるという扱いを受ける。そういう風習があるのだこの国には。
十歳のころ突然おじいさまに部屋に呼ばれた。部屋に入ると首輪と鎖のついた裸の獣人の女と下半身裸のおじいさまがベッドのところにいた。獣人の女は茶色の毛並みの犬人のようだった。どうやらお楽しみの最中だったようだ。わたくしの存在に気づいたおじいさまはベッド方へ呼び寄せ言った。「こいつにご褒美をあげてやんな。尻とか叩くと喜ぶぜ」と。言われた通りにした。おじいさまが少し怖かったから。そしてそのときわたくしに何かが目覚めた。そう、S気が。
獣人や貧乏人は奴隷になることが多い。奴隷を買うには王国に許可がいる制度になっている。そのおかげか良い奴隷がいれば許可を出さず王宮へメイドとして迎えいれるのだ。奴隷との間にできた子はメイドとして英才教育を受けることになる。だからかメイドがたくさんいる。
一方エルノワはわたくしによって完全にMになった。それはもうドM中のドMですわ。縄で縛られたりわたくしの椅子になったり。それはそれは嬉しそうでしたわ。
十五歳のころ、というか三年前ですわね。王宮をこっそり抜け出して、街をぶらぶらしていると珍しい内容の書籍が見つかった。新しい出会いだった。異世界の男女の恋愛物語や魔法と呼ばれるもののある世界の物語。今までは冒険譚や英雄譚、歴史、魔術の本しか見たことがない。魔術と魔法の違いは魔術は原理のわかっている不思議な現象で魔法は原理のわからない不思議な現象。この世界に魔術はあるが魔法はないとされているらしい。昔授業でやった。そしてハマった。三年もいや今も現在進行形ですわね。こうして今に至る。
こんなものかしら。明日はいよいよ戴冠式なのよね。わたくしが女王になるのよ。楽しみだわ。細かい政治は宰相がやるのだけど、三年前からエルノワが務めている。あのヒョロヒョロドMに頼らわざるを得ない状況になるのね。心配だわ。ああ心配。(棒)国はどうなるのかしらね。そろそろ終わりにするわ。また会いましょう。
P.S.今いわゆる外国語で書いてるのだけどこれを読んでいるあなたはどこの人?
王女の独白 まれ @mare9887
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます