まずは日課の動物狩り

 


「行ってきまーす!」


「今日も行くの?」


「うん!」


「怪我しないようにね」


「はーい」



 そうお母さんに言って僕は家を出て少し遠くにある森へと向かった。


 僕が生まれたこの村は辺境の地らしい。村の名前はアルド村、僕の名字でもあるアルフレッドから取ったらしい。

 お父さんが王国からここに行って発展させろって言われたらしい。詳しくはまだ聞いてないけど、お父さんが来てからかなり発展したらしい。僕のお父さん、凄い!



「ふんふんふふ〜ん」



 即興の鼻歌を歌う。今日も天気がいい!



「今日は何を狩ろっかな〜」



 僕の日課。そう、それは森へ行って1匹動物を狩る事。狩ると言っても無差別にではなく、ちゃんと見極めてるからね。


 これは僕自身の強さ、力を上げたりも出来るし夜ご飯が豪華になる。一石二鳥ってやつだよね!

 生き物を殺すって言うのは…日本人からしたら嫌がる事なのかもしれないけど、不思議とそう言う気持ちはなかった。あと、強くなるって事に関してはなんとも言えないかなー。


 強くなりすぎても…なんか、嫌だし…程々が良いなーって思ってたけど思ったより能力値が高くなってる。


 その能力値やスキルとかは神官、もしくは特別な魔道具が無いと見れない。

 確か、この前お父さんが購入した能力値を測る魔道具で見た時は…


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 名前:フィグラ・アルフレッド


 レベル:9


 能力値

 体力:E

 魔力:E

 筋力:D

 防御:D

 俊敏:D

 幸運:F


 スキル

 ・冷血

 ・残虐

 ・無情

 ・美容

 ・不動

 ・大鎌(聖級)

 ・筋力増加

 ・俊敏増加

 ・防御増加

 ・状態異常耐性

 ・成長促進

 ・畑仕事


 ユニークスキル

 死神


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 多分こうだったはず。確か、スキルの成長促進のお陰で人より能力値の伸びが凄いらしい。でも、Cまでは頑張れば誰でも行けるらしく、そこから先がスキルや才能が関わってくるらしい。


 あと、この前お母さんから『フィグラは良いわよね〜、美容スキルを持ってて』と妬まれた記憶がある。…ちなみにこの美容スキル。お母さん曰く、肌の衰えが遅くなり艶もハリもあって、瑞々しい肌、日焼けしない肌を何もせずとも維持できるスキルらしい。そのため女性にとっては喉から手が出るほどのスキルらしい。

 お母さんから妬まれた後『でも、フィグラにはピッタシのスキルね。可愛いもの』と、どう反応したら良いのか分からない言葉を言われた。



 僕は歩きながら自分の二の腕をプニプニする。たしかにモチモチしてて柔らかい。…子供だからそうだよね〜。って、あと2日で僕も子供卒業なんだけどね。



 この世界では10歳で成人認定されるらしい。かなり早い、むしろ早すぎる。でもお酒などは12かららしい。それでも早くない?…この辺りは日本人感覚のせいかな?


 10歳になったらどうしよっかなー。ちなみに、お父さんから勧められているのは学院へ通う事。

 王国には10歳になったら通うことが出来る学院があるらしい。そこでは身分など存在せず平等、しかも学べる内容も質が高く好評らしい。どうしよっかな〜。


 まぁ2日あるから、その時考えよう。…って、一年前から考えてるんだよねー。あははー。


 …どうしよっかな?学院、かぁ〜。なんか前世ではカーストと呼ばれるものが存在してて、それの中より下だった記憶があるね。特に恋をすることなく終わりを告げたね。



「…恋、か〜」



 結婚とかしてみたいな〜。…新婦側じゃないからね?新郎側だよ?


 まずは誰かを好きになって、付き合うことだ。そのためにはやっぱり学院がいいのかな?よく言うもんね、学院は出会いの場って。…え、言わない?まっ、いいや。


 取り敢えず、見学とかできたらしてみたいな。今日の夜にでも話してみよ。



「…あっ、とうちゃーく」



 考え事をしていたら森に到着していた。んー、いつも空気が美味しい!もう忘れている感覚だけど、都会の濁った空気より断然美味しいね!



「…さてー、今日は何が出るっかな〜♪」



 るんるんるん。


 僕はスキップをしながら森を進んだ。…何回か木の根っこに足を引っ掛けて転びそうになったけどね。服を汚したらお母さんに怒られる……ゃー、想像もしたくない。




「おっ、発見ー」



 あれは熊!運がいいね。


 熊はお肉もたくさん取れるし、毛皮も売れる。最高の動物だよ。でも、熊ちゃんの爪をまともに食らったら死ぬかなー?



「…よし!見たところ妊娠中とかでもないし、伴侶がいるわけでもなさそうだね!」



 これ大切だよ?妊娠中の母熊を殺しちゃったら中の赤ちゃんも死んじゃうし、仮に生きていたとしてもすぐに死ぬ。そんな悲しいことはさせない。

 僕が狩るのは伴侶が居ない一匹狼ならぬ一匹動物だ。本来の意味じゃなくて文字通りの意味ね?



「はっ!」



 僕は右手に真っ黒な大鎌を生み出した。それは、闇より深く見てるだけで吸い込まれそうな漆黒で、僕の身長より大きく、刃と手持ちの境目には髑髏のマークがある。


 これは僕のユニークスキルである死神の能力のその一つ。


 死の大鎌の顕現。



 この大鎌は命を刈り取る死神の鎌。



「苦しめないからね」



 そう呟いて僕は未だこちらに気づいてない熊に向かって大鎌を振るう。


 刃が熊の胴体を切る。だけど、皮は切れずに血も出ない。数秒後、熊の体はグラリと揺らいでドスンッ!!と重い音を立てて地面に倒れた。


 これが死の大鎌。

 相手がこちらに気づいてない状態で致命的な一撃を入れると、傷は与えずにその命、ようは魂だけを抜き取る能力。とても強い。だけど、気付かれたらその能力は失われて、ただの硬い大鎌になるだけ。



「よし、今日はもう帰ろっと」



 大鎌を解除して熊を家に向かって運んでいく。重いけど、筋トレだね!…まったく、筋肉つく様子なくて細いまんまだけど。







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