第3話 転生した私

気づいたら赤ん坊だった。

母親と思われる女性に抱かれている私。

とっても綺麗な人だ。

サラサラな金髪、そして耳が長い、エルフなのかな、うん、異世界だ。


「klrgaekg@awe」


母親と思われる女性が私を見て何か話しているけど勿論言葉はわからない。

そう、転生ものお決まりの言語理解は取らなかった。

赤ちゃんから始まるのだ、言語は自然と覚えるだろう、それに他の言語は勉強すればいい、そう考えたからだ。

そして魔力、これも幼少期から鍛えれば増えるとヲタク神に聞いて確定済み、個人差はあるらしいが鍛えていこう。

底上げとしてスキル「動くと経験値アップ」スキルを得た、もちろん運動とかはするつもりだけどプラスアルファで生まれた時から動き回ればレベルが上がるのだ。某ドラ〇エの幸せの靴と同じ効果、幸せになれるスキル、私はハッピー、目指せLV99。


この世界についてはヲタク神に聞いて、ある程度わかっている。

星の名前はアーディレット。

4大陸で構成されていて人族、魔族、妖精族、エルフ族がそれぞれの大陸を納めている世界。

そして私の母はエルフ、ということは、ここはエルフの大陸かしら?


「dep!flewagjkgaea」


母親と思われる女性の肩越しに男性がひょっこりとこちらを覗いた。

彼が私のお父さんかな、でも耳は普通ね、エルフの身体的特徴は耳だけってわけじゃないのかしら?

それにしても素敵な笑顔で私を見てくるわね。

2人とも美男美女、そしてなんて愛のある眼で私を見てくれるんだろう、この2人から生まれたからには愛が溢れる子に育たないとね。

転生して最初に心に決めたこと、愛のある人生を築く。


ハイハイが出来るようになってからは縦横無尽に家の中を動き回ることにした。

ベッドの上だと寝返りか腕を振り回すしかできなかったからね。

木造二階建てと思われる我が家は常に来客のある楽しい家。

劇団のメンバーから純粋なファン、色々な人がやってきた。

私も来客の度にハイハイで挨拶をしに行っている。

今から顔を売っておかねば、私は団長の娘だからね(キリッ)


そして動き回る毎に私の経験値は上がっている。

確認の方法だけど、ステータスと念じれば頭の中に浮かぶシステム、第三者に見られなくていいね。

魔力の方はこれまた順調に上がっていると思う。

普通の人がどの程度かっていうのがわからないから何とも言えないけど。

最初はベッドの上で唸りながら鍛えていたけどその都度トイレかとおむつを捲られるのでそれはやめるようにした。

そのあとに色々やってみて、私は目で魔力を視認することに成功した。

きっかけは薄ぼんやりした埃のようなものが植物に吸収されるのを見た時だ。

そのあとにその埃のようなものをちゃんと意識しだしてからは早かった。

輪郭がはっきりして、赤や緑、青などの色付きに代わり、それが魔法の源だと認識してからはその元素のようなものを動かしたり、くっつけたり、自分に吸収できるか試してみたりして、それを魔力がなくなるまでやると翌日には魔力が上がっている。

赤ん坊でもできるんだからたぶんみんなできるんだろうけども。

まぁ学校とかがあればそこで習うものを自分で気づいて先取りしてるってぐらいの認識でいよう。


そしてハイハイができるようになり、外の景色がわかるようになって初めてわかったことがある。

この世界にも四季があるようだ、桜のような樹、ひまわりのような花、紅葉もあり、寒さが厳しい冬もある。

時間が経つと自然と言葉も覚え始め、家族の名前もわかった。

父の名前はライズ、濃い赤髪だけど耳も普通だし、尻尾とかも生えてないから人間族だと思う。

母の名前はミーネ、金髪で耳が長いからエルフで間違いないと思う。

そして私の名前はアルテス、うん、いい名前。

私の髪は母譲りの金髪で毛先に向かって父譲りの赤色にグラデーション、耳は父よりちょっと長くて、母よりは短い、種族的にはハーフエルフになるんだろうか。

我流だけど魔力の使い方、運動、数は少ないけど家にある少ない本を読み、計算はまぁ、前世のものでいいかなって感じで日々を過ごしている。

もちろん本を読むときは誰にも見られてないと思うし、一度バレそうになった時は悪戯した赤ん坊を装った。

あぶないあぶない。


そうこうしている間に季節は廻り、私は5歳になった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る