年金

肺癌も末期に差し掛かった頃


父が咳き込みながら私に言った


もう辛くて敵わん。


最期は大切なお前の手で


楽にしてくれんか


父の年金だけが頼りの無職の俺は


躊躇ったが


結局大切な父の意向に沿う事にした


今でも年金調査の奴が来ると


奥から父の声が聞こえる


良男。誰か来たのかい?

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