第26話


『 コン コン 』


『 誰だ? 』


「 !?・・ケント様をお連れ致しました 」


『 !?・・入れ・・ 』


「 こちがラファエル伯爵のお部屋でございます、それではケント様、私はこれで・・


先程のおはなし、考えておいてください 」


「 ふッ 考える余地など毛頭に… 」


『 チュッ! 』


「 うッ・・ 」


頬に移り香を残すと、笑みを浮かべながら何処かへ行ってしまった。


『 カチャ 』


その時、ラファエルの部屋の扉が中から開けられた。


「 其方は!? 」


「 久しぶりだな 」


「 ケントなのか!? 」


「 ああ! 」



アリスの言っていたことは本当なのか!?



どう見ても男だ…



しかし、髪の色、目、鼻の形、顔の輪郭まで、瓜二つ・・


ただ、違うのは・・


化粧をしていないことと、男性の容姿を身に纏っていること、そして、俺の目の前にいるルイの瞳のほうが、アリスより、より碧く輝いているように感じる。



出て来たのはラファエルではなく、銀色のウエストコートに、同じく、銀色のブリーチズ、全身銀色のコスチュームで着飾ったルイだった。


「 な、何を見ている!…とッ、ところで、お供の召使いはどうした? 」


「 あの、蛇のような女か? 」


「 アンセフゥポン? 蛇 なんだ、それは 」


「 彼女なら、急に慌てた様子で何処かへ行ってしまったが 」


「 !?……まぁいい、とにかく中へ入れ 」


「 失礼する 」


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