第3話
数日後ーー
暫く空を見渡していた。
この日に限ってあいつは姿を見せてはくれなかった。
別に淋しいわけではないけど、やけに雲の動きが速いような気がしたから、空を見ていただけ…
その頃操舵内ではーー
「 酉の刻には新地まで、あと十里程の地点に到着の予定でございます 」
「 そうか… 」
ところが、しばらくすると澄んでいた青空がみるみるうちに灰色に変わり、雨が降り始め、風も一段と強くなり船は大きく揺れ始めたのだ。
「 親方様?… 」
「 わかっておる、が、ちと面倒じゃな 」
父上が見据えた先に見えたもの、それは、今まで見たこともない大きな暗黒の雲、その中心には渦を巻く雲が海に繋がっていた。
「 このままですと非常に危険です!一刻も早く手を打ちませんと… 」
「 うむ・・仕方がない、直ちに進路変更だ! 」
「 御意にございます! 」
刻々と迫り来る暗雲、その間も荒波は容赦なく船を揺らし続けた。
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