第36話 リビドー
彼にとって「彼女」は不思議な存在であった。
彼女は大人びた容姿とは似合わず、すごく清純なこころを持っていた。
彼女は純粋培養で世間知らずのお嬢様であった。
彼はよく下世話な冗談で彼女を揶揄っていた。
彼女は顔を真っ赤にして彼を叱ったりしていた。
その彼女の反応が彼には新鮮で面白かった。
その反面、彼女の何気ない仕種が彼のリビドーを刺激してしまうことがあった。
彼女がそのことに自覚をしていないので、余計に彼は彼女に性的な感情を抱いてしまうのであった。
彼はなるべくその刺激に反応しない為に、彼女を余計に揶揄っていた。
猥談を聞いて恥らう彼女の仕種に、彼は欲情してしまいそうになっていた・・・
生物部で部活動と言う名の雑談をしているうちに、
彼は彼女とアイツが「親密な関係」になっている事に気が付いた。
彼と同志でそのことを冷やかしたりした。
彼女とアイツの2人は必死に否定をしていた。
しかし、日に日に2人の関係が深くなっている事を、彼は感じていた。
何故か、彼は彼女をアイツに取られたく無いと考えていた。
「2度と会えないあの人の代わりになるかもしれない」とも考えていた。
2人の関係に悪戯をしてやろうとも考えていた。
ある日彼は彼女に告白の手紙を送った・・・
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