第30話 不眠
文化祭の準備が進むにつれて、彼は自分自身の無力を感じていた。
「部員達は皆頑張っているのに、自分は何の役に立ってはいないのではないか?」彼はいつもそう考えていた。
彼は夜、眠れなくなる日が多くなっていった・・・
彼は文化祭で部活動以外に、ある重要な仕事を任される事になった。
彼が所属していた委員会が、文化祭の優秀賞の選考担当になってしまったのだ。
委員長であった彼は、自動的に生徒側代表の優秀賞選考委員長になってしまった。
本来なら来場者の投票などで決めるべきであるが、今回は選考委員の担当が開催日直前に決まった為にその様な準備が出来なかった。
彼は文化祭当日は全ての出し物を見学して、審査をしなければならなくなったのだ。
文化祭当日に肝心の部長が部活の展示に殆ど参加が出来なくなってしまった・・・
部活と委員会2つの重圧に彼は押しつぶされそうになっていった。
真夜中に彼は、順調だった中学生時代やあの人との日々を思い出しては、1人で布団の中で泣いていた。
目の前に迫る困難に、彼は逃げ出したくなりそうになった。
ますます彼は、夜眠れなくなった・・・
不安定になった彼のこころは何処かに助けを求めていた。
「あの人が私を助けてくれるかもしれない」
彼は勝手にそう考えていた。
文化祭2日前の夜、彼は今まで1度も掛けたことの無いあの人の家へ電話をして
「必ず文化祭に来て下さい」と念を押したのだった・・・
文化祭前日、部員達だけでなくOB・先輩も参加して遅くまで最後の準備に取り掛かっていた。
それが彼が文化祭の為に行った最後の「部活動」であった・・・
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