かめ

  歩く速さは、みんな違う。

  君の歩み、僕の歩み。


  僕はね、わかっているんだ。

  僕の歩みが遅いこと。

  どれだけ急いでも、追いつけないこと。


  でもね、それは悲しくないんだよ。

  だって、みんな違うのが、当たり前。

  だから、見える景色がある。


  ゆっくり歩むから、風の匂いに気づく。

  周りがよく見えるから、

  小さな生命いのちに気づく。

  天気も、空気も、景色も。

  僕だから、感じられることがある。


  時間はかかっても、僕は歩み続けるよ。

  歩いた跡に残るもの。

  欠片が落ちて、作られる道。

  最期まで、完成させるから。

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