◇真実◇ 二〇二〇年 八月十一日 火曜日(晴れ)

『私一人じゃ、滝川さんを助けることはできない。根本的な解決をするために工藤さんをどうにかしないといけない。そのためには誰でもいいから協力者が必要だ。協力者がいれば色んな解決策を考えて実行することができるから。そして運よく今日は協力者を見つけた!! 名前は斎藤さいとう健二けんじ。お満員電車の中で私のお尻を触ってきた中年男性で、気の弱い性格をしている人だった。尻を触ってきたときに痴漢の証拠として彼の顔が写った動画を撮っておいた。その動画と駅員さんに何か言われている時に撮影した写真を使って、私の計画に協力しなかったらSNSにばら撒くって脅したら何とかうまくいった。彼には奥さんや小さいお子さんがいるようだったから、結構焦っていて少しだけ悪い気がした……。だけど自業自得だって思い込んで私は気にしない振りをした。ごめんなさい。あいつの職業が葬儀会社だって別室から聞いて、ある計画を思い付いた。だけどうまくいってしまうと私は犯罪者に成り下がって、一生ごく普通の生活を送ることができないと思う。彼にも多分会えない……。それでも私は実行しないといけない。滝川さんを守るために、工藤さんを止めるために』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る