童貞にしか使えない聖剣を引き抜いた僕は、世界と貞操を守ることになりました。

咲崎見合

第0話 異世界デビュー

 高校を卒業してから大学に入るまで、2年間の空白があるのは浪人をしていたからではなく、少し体に異常を抱えていたからで、それを治すために入院していたからだ。


 今もまだ完全とは言えないけれど、それでもこうして通うことはできる。

 先日のオリエンテーションはオンラインで済ませてしまったから今日がお初お目にかかるわけだが


「あ、おひさー」

「おはよー」

「スーツしんど」

「足いてぇ」


 なんとまぁ!みんな既にお友達がいらっしゃるようだ!


 仕方がないというか、自分一人ではどうしようもないので、とりもあえずもサークル勧誘の欅道を抜けて体育館に向かう。


 何十何百と並ぶパイプ椅子の上にはボールペンと何やら手帳のようなものが袋に入って置いてあった。それを鞄にしまって椅子に座る。

 スマホをいじりながら偉い人の有難い話を待っている。そんな時だった。


 何かが起きた。

 

 衝撃は認識できない。

 音が鳴ったような気がしただけだったのだろう。

 だってそれが落ちた時、


 僕は、命は消えたのだから。

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