突然押しかけてきたボクっ娘超絶美少女が俺を青春モルモットにしようとする件

夕凪

突然現れた

カチカチカチカチ

『GOAL!!!!!逆転!!11番エースロナウド後半アディショナルタイムでまたも決めました。これでこの試合三点目。さすが世界のストライカーです』

「くっだらねぇ・・・・・・」

薄暗闇に映る、スタジアム内に輝くテレビゲームのヒーロー。俺が作り編成した究極のチーム。今ネット対戦で不動の13連勝をしたのだがどうも高揚感を得られない。





それもそのはずこの画面越しに映俺が操ったエースロナウドは、ゲーム内では最高なヒーローでチームメイト、監督やスタッフだけではなく、観客席の人間が讃えてる。

それなのに、操った俺には、感謝の欠片もない。

それもそのはずCPUから得られる感謝なんて無に等しいし、ましてや電波越しの対戦相手からの言葉なんて論外だ。





その大半が負け惜しみで罵倒するんだろう。敗者の言葉なんて説得がない。

まぁ、たまにほめる奴もいるが、それはごく少数。仮にそれがいたとしてもなんとも覚えない。

俺にとっては敗者の言葉なんてすべて同じだ。





「えーーーーーーーーと対戦相手はえーーーーーと韓国か。どのみち読めないわな」

肩を左右にならし、欠伸が出る。

ふぁ~~~~~~~さてと今日のウイ〇レはやめるか。所詮このゲームはあくまでサブ。本来やりたかったオンラインゲーがメンテなんだから仕方なくやっただけだ。


はぁ・・・・・次のメンテ明けは今日の夜7時、後二時間か・・・・・・クソ運営め。もっと早くしろや

憂さ晴らしに枕を時計掛けに投げる。

はぁ・・・・・・ダル。







申し遅れたが俺の名は、東雲明日火(しののめあすか)・・・・・

名前の通りにヒーローみたいな名前だがそれとは裏腹に、栄光引きこもり歴半年の高校生だ。

理由はありきたりの理由。周囲からの期待、重圧、挫折に陰口それらが溜まりに溜まった結果逃げ出した引きこもりだ。




まぁ引きこもりと言っても俺は割と幸福な方だ。

貧乏や普通の家庭なら貯金はなくなりいつかは追い出される運命が約束されるが俺は違う。

俺の家はマンション暮らしだが、そのマンションやその他の土地は俺の爺ちゃんのもの。要は金持ちだ。

その爺ちゃんもこの間亡くなって、財産は長女である母さんが相続するようで、今度爺ちゃんの家に引っ越すらしい。

まぁ、うちの親は基本放任主義だ。




親父は、海外勤務で年に1,2回会うか分からない多忙で帰ったとしても疲れてまったく話をせずしばらくしたらすぐに仕事に戻るし、母さんも働いてるが、俺に関心がない。挫折しても世間体がアレなのか、ちゃんとご飯も作って部屋の前に置いてるし、小遣いも大体平均月10万は恵んでくれる。

いわば俺は最高に親ガチャに恵まれてる方だ。





ていうか、もっと早く引きこもり生活を満喫したかったぜ。金も困らない、注意する人間もあまりいないずっと自分の世界にいられる。まさにパラダイスだ。





それに挫折や苦悩も味わなくてもすむのだか・・・・・

ちっ・・・・・・疲れて目がぼやけてきたな。顔を洗ってオンゲーまで少し寝るか。




そう思いながら自室を出て洗面所を向かうのだが・・・・・・・




!!!!



なんだ。廊下の電気がすでについている。母さん帰ってきたのか?

洗面所を向かうがてらリビングに向かった。するとテーブルには買い出ししていたようらしく、キッチンでは鍋でカレーを煮込んでいたようでまな板にはキャベツの微塵切りをしかけた途中だった。





おかしいな。普段なら買い出しを終えて6時半か7時くらいに帰ってくるのに・・・・・・

それに几帳面な母さんがこんな中途半端な状態で食材を放置するか。

おまけになぜか絆創膏の箱が置いてるし。




ゴトゴト

しかも鍋がゴトゴトと煮込んでるし・・・・・・これじゃ焦げるぞ。

即火を消し、ルーをかきまぜたのだが・・・・・・・

なんだこれ!?

ジャガイモがお玉いっぱいに収まるくらいの大きさでほとんど切ってない・・・・・

ていうかこれジャガイモの芽のまま入ってるし。

なんかめちゃくちゃだよ。





ガチャ!!!

その時浴室から扉が開いた。まったくなにやってんだあの人は・・・・・・・

普段はあいつを面と向かって話したくないが、ここまでされたら黙ったままにはいられねぇ。






「おい!!!!なにやってんだよ。まともに飯つくれねぇ・・・・」

「うわっ・・・・」

ん?なんだ。鉢合わせたとき、聞きなれない声がし、後ろに倒れこもうとする。

その拍子に薄桃色のパンツが見える。

いや、それよりもなんで目の前にうちの学校の制服を着た女がいるんだ。

そう思ったとき、謎の女は目を向ける。







「ご・・・・・・・・・ごめん。ちょっとどいてくれないかな?火をつけたままなんだ」

「あ・・・・・・・・いや、それなら消したけど」

「そうか、ありがとう」

可愛い・・・・・・・こんな子うちの学校にいたか?

いや、よく考えれば俺引きこもりデビューするのと同時に今の学校に編入したから全然学校に行ってなかったな。

制服なんて学校のパンフレットで見たくらいだし・・・・



その少女は髪は栗色のセミロングで、見た目は清楚感があるがどちらかというと、サバサバとしたような感じで振る舞っており、ボーイッシュって言った方がいいのかな?

そして・・・・・


「ちょっと、君、ボーーーーーーーーーとしないで席に座る。もうすぐごはんが出来るからね。楽しみにしといてよ」

「あ・・・・・・ああ」

「そうだ。自己紹介忘れてた。ボクの名前は夏輝・・・・・・・灰崎夏輝。二年生だよ。よろしくね明日火くん」





一人称ボクの先輩だ。

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