魔法学入門ⅰ
ウゾガムゾル
第1回 ガイダンス・概説
えー、それでは、第一回の講義を始めていきたいと思います。私はこの講義を担当します、■■と申します。宜しくお願いします。
さて皆さんシラバスは読んできたでしょうか。ま本当はここに来る前に読んでおいて欲しいのですが、帰ったらでいいです。あとこの教科書使います。この教科書いい教科書なので、授業で扱わない範囲も読んでおくといいです。
(中略)
早速ですが、内容のほうに入っていきたいと思いますよ。まあ、皆さんからしたら魔法なんて使えればいい、こんな講義に何の意味があるんだ、さっさと実習をやらせろ、と思うかもしれませんが、背景にある理論を知っておくと、より理解が深まって応用が効きやすくなりますんでしっかりやるように。
さあさあ、まずそもそも「魔法」って何でしょうか? 科学で説明できない現象? 振ると好きなものが出てくる棒? 何でも叶えてくれる魔法? これは循環定義ですね。
実は、魔法とは「力」なんです。みなさんがこの大学でずっと発動してきた魔法ですが、どんなに複雑なことも、すべて単純な「力」がもとになっているわけです。
「力」というのは、あの運動方程式の右辺ですね。力を受けた物体は加速度運動します。これは既に学習したことだと思います。
魔法の力は、「魔法力」と呼びます。ここで注意したいのは、「魔法力」と「魔力」は全然別の概念だということです。「魔法力」は力です。単位はニュートンです。一方「魔力」は仕事率です。エネルギーの時間微分ですね。あんまりいいネーミングじゃないですが、歴史的経緯があるので仕方ないです。
では実際にどうやって魔法力を発揮するかというと、まあ呪文を使ってもいいんですが、そうでない場合、皆さん念じて使いますよね? あの時周りにいる人は何かしらのオーラのようなものを感じませんか? あれは、魔法場というものの影響です。
人が魔法を発動すると、周りの空間は影響を受けて、ある種歪むのです。これは魔法場といいます。物質は、この魔法場から力を受けます。この力は物質の持つ「魔荷」という量に比例します。魔法場はベクトル場です。
具体的に考えてみましょう。みなさんが魔法の力を単に発散させたとします。すると、みなさんの周りにベクトル場が発生します。これに影響を受けて物体がみなさんから遠ざかっていくわけです。さらに魔法が成熟すると、ベクトル場を細かく操れるようになります。こうなると好きな場所に物を動かしたりできるわけですね。これだけじゃ何も面白くないかもしれません。大事なのはここからです。魔法は成熟していくと、ベクトル場を操れる範囲が広がり、さらに成熟すると操るときの細かさが上がります。分解能が増えるわけです。すると化学変化、さらには核反応くらいのミクロなレベルで物質のふるまいを制御できるようになります。こうなればいきなり物を燃やしたり、空気からケーキを出現させたりすることもできるというわけです。
しかし皆さん魔法を使うとき、ミクロな1つ1つのベクトルまで意識してませんよね? 基本は呪文を使っているわけです。これは皆さんが持っている魔法石が代わりにやってくれているのです。魔法石がないとあまり細かい制御はできません。できても針に糸を通すくらいが限界でしょうね。
さて、今日はこのくらいにしたいと思います。次回はSeverusの法則についてやります。教科書を読んでしっかり予習してきてください。以上です。
魔法学入門ⅰ ウゾガムゾル @icchy1128Novelman
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