前世では王子様だった少年と、前世では駄女神だった少女の話

春川晴人

第1話 弟視点

 前世ってなんだろう?


 かつて、王子だったぼくは、お城の召使いに裏切られて暗殺されてしまった。


 まではよかったんだけど。


「ねー、ねー。帰りアイスおごってー」


 なぜだ!? なぜ、前世で王子だったぼくと、前世でも駄女神だったらしい彼女が双子として生まれて来なければならなかったんだぁー!?


「アイス、おごってくれるよな?」

「……はい」


 しかもなぜか、姉のおサイフ係だなんて解せない。どうしてこうなった!?


「あー、あたしぃー、バーゲンナッツのアイスね? チョコかかってるやつ」

「ちょっとまってよ。弟のぼくが外野フライアイスなのに、なんでお姉さんがその倍の値段のアイスなのさっ!?」


 あまりの理不尽さに怒鳴ってしまったぼくを、姉が見下ろす。双子、だよねぇ? なんか姉の迫力、二倍マシじゃない?


「ああーんたがアイス買わなきゃいいんじゃないのっ!?」


 ひどいよ。神様は理不尽だっ。こうなったらぼく、引きこもりになってやるっ!!


「言っておくけど、引きこもりを引きずり出すの、駄女神の得意技だから」


 そんな属性知らないよー。っていうか、なんでぼくの思考回路を読めるのさぁー!?


 つづく

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