第31話 走る悪役令嬢弁護士
えー、ゴードラ組の新規採用組員の面談を始めます。
えーと。ウチの組で新規採用した組員、悪役令嬢マリーちゃん。
プロフィール、っと。
悪徳弁護士一家のご令嬢として生誕。
リアル悪役令嬢だね。
悪行、じゃなかった、学業の成績優秀で、20代で司法試験合格。
司法試験って何?
悪徳弁護士だった祖父が死亡したため、悪徳顧問弁護士の座を継承する。
顧問を務める悪徳リサイクル企業の本社に滞在しているときに、運悪く柊ちゃんの復讐の討ち入りを受け、巻き添えで霊的に捕獲される。
そして、その辺にいた競走馬の馬霊を突っ込まれて、霊的に死亡。
現在は悪徳弁護士としての意識と競走馬としての意識が渾然一体となり、忠実&
&勤勉でありながらもファンキー&アナーキーな人格が形成されている。
趣味は「疾走すること」と、「脱法行為」。
…プロフィールは、こんな感じでいいかな?
悪役令嬢マリーちゃん「ええ、間違いありませんわ」
マリーちゃんには、いまウチの組で推進している「ゴーストタウン建設プロジェクト」のうち、各種競技場を運営するコロシアムエリアの担当になってもらいます。
全権委任するので、自由にやっていいからね。OKかな?
マリーちゃん「ええ、全力疾走で取り組みますわ。」
ヨシ!マリーちゃんGO!
…すげえスピードで走り去っていったな、あの悪役令嬢馬女子。
脱法行為に詳しくて、馬車馬のごとく働く、優良物件を手に入れちゃった。
私と同世代くらいなのに、上級国民のマリーちゃんは住む世界が違うねぇ、やっぱり。偶然私と遭遇してしまったのが運の尽きだったね。残念!
…うぅ~ん。
私と同世代で、同性で、体形が似てる。
…私が憑依できる条件に該当してる?してるよね。
なんか知らないけど、私は特定の条件を満たしてないと生きた人間に憑依できないんだよね。
オーストラリアでは白人系や先住民系の女性に憑依できたから、人種は無関係なんだけど、性別、年齢、体形が元の私とおおむね一致してないとマトモに憑依できない。
柊ちゃんにも憑依できたけど、彼女は体形がやや細過ぎ&小さ過ぎなんだよね。
神職の家系だったお陰で憑依度120%を超える勢いだったけど。
で、悪役令嬢マリーちゃん、彼女、元々の私の体形とほぼ一致。
これはイケるんじゃね?
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