第8話 リサイクル店店員の憂鬱
私はリサイクル店店員。最近ヤバい客が来て憂鬱だ。
初めてヤツが来店したとき。
最初は、とんでもない寒気がしてなんか邪悪な何かが接近してくることに戦慄した。
逃げる?逃げるか?
いや、いま逃げると店長激怒、借金完済が遠のく…かかってこいや!
ドアがバーンと開け放たれる。
悪霊「こんにちはゴーストドライバーです!」
…ああ、自分でゴーストって名乗る悪霊は初めて見るよ。
っていうか、セールスドライバーみたいなイントネーションで自己紹介すんなや。
オイずいぶんクッキリハッキリ見える亡霊だな。
…私の一族は元々神職だったらしい。
でも管理していた神社が市街地に移転。残された家畜霊の祠を祀るため、ウチの一族だけが農家兼業でここに残った。
でも、その祠も今では廃車置場の一部。祀っていた一族の最後の一人である私は、その廃品業者が運営するリサイクル店で働いているというありさま。
で。私も霊が少し見える。査定と称して実は物に宿る霊の痕跡を読み取ったりしている。
悪霊「実は倉庫でお宝がいっぱい見つかりまして…」
ヤバい客が古銭をジャラジャラと取り出す。
実体を維持した悪霊とか、コイツ強力過ぎる。
悪霊「ちょっとハイテンションになって、ウキウキで来ましたテヘ」
テヘじゃねえよ。悪霊がウキウキすんなよ。
私「拝見いたします」
これ…ウチで祀っていた家畜霊の祠の賽銭?
どういうこと?
その後もあの悪霊客は何度も売却のため来店。
そして…
悪霊「パーティーグッズ買いに来た」
とか言って、多数の家畜霊たちを引き連れてヤツが来店した。
って、あの家畜霊たちって、私の一族が祀ってた霊たちじゃん!
家畜霊たちも私に気づいて、話しかけてきた。
牛『祠は壊されてしまったが、今はゴーストドライバーちゃんと合体して、祠の再建を目指している』
と。
馬『祠を壊した悪徳業者にお仕置きするから、巫女である貴女にも協力してほしい』
…と。
ウチの一族の力不足でこんなことになって、ごめんなさい…
…ついに祠壊しやがったかあのクソ社長。お前は私を怒らせた!
私もそのお仕置きに協力します!
社長を潰して…借金をチャラにする!
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