シュガーアップル・フェアリーテイル 銀砂糖師と黒の妖精
三川みり/角川ビーンズ文庫
プロローグ
どうしたの? アン。
いいのよ。そんな日もあるわ。
ならママが、昔話をしてあげようか。ハイランド王国に伝わる、
そう、妖精。
ほら、はやく毛布にくるまって。そう、いい子。それじゃあ、始めるわね。
ずっとずっと昔。人間が火を使うことも知らなかった、大昔。この国には、妖精の王国があった。妖精王がいて、妖精たちは王を中心にして、平和に暮らしていた。
妖精は自分たちの王国を、ハイランドと呼んだ。
ええ、そう。
今は人間が、妖精を
いい? 続けるわよ。
妖精たちは、平和を愛した。彼らは常に、美しいものと楽しみを追い求めた。
何百年も妖精は変わらず、おだやかに暮らした。
けれど人間は
人間は努力して、いつしか火を使うことを覚えた。知恵もつけた。そして人間たちは、とうとう気がつくの。自分たちは、妖精に支配される必要はないってことに。
今から五百年前。
人間たちは反乱を起こし、ハイランドを手に入れた。そして妖精を、人間の下僕としたの。
え? うん、そうね。
今の妖精は、
どうしてかって? だってね、砂糖
あんな
だから私たち砂糖菓子職人だけでも、妖精を
友達として、つきあわなくちゃいけないと思うの。
あなたも、ね、アン。アン?……あら。眠っちゃったのね。いい子ね、アン。おやすみ。
よく眠って、笑って。そして砂糖菓子みたいに、
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