君の入る僕が居る
みなと あおい
序章 1
拝啓、君がこの手紙を読んでいるということは、私は死んだんだね。私がこんな遺書みたいなものを残すなんて思ってなかったんじゃないかな。急に君の前から消えてごめんね。君にそんな素振りは見せたくなかったんだ。だって…今だから言えるけど君が好きだったもの。四月の桜が満開なこのごろ、私はいつまでもこの桜を君と見ていたいと思っているの。私は死ぬのが怖い。死にたくない。だから君は私の分も人生を楽しんでください。でも、最後に我がままを言わせて。
この日常が永遠ならいいのに と。
僕は、この手紙を読みながら、自室の窓を開けた。涼しい春風は僕にもの悲しさを与える。僕は、手紙を読んでも読んでも、もう君の死から三年もたっているのに、泣いている。君が死んでようやく自分の気持ちに気付いたよ。僕も君が好きだったんだ。
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