第82話 運命の時
「ふぅ・・・疲れたな」
俺は自分の班の部屋に戻ると荷物を床に投げベットに横になった。すると横にいた高橋が話しかけて来た。
「なあカナタ!お前この後のキャンプファイヤーの予定もう埋まってんのか?」
突然の質問に思わず固まってしまったが、すぐに答える。
「おう、申し訳ないけどもう埋まってるんだ」
そう言い終わるが早いか否か、高橋は俺の両手をがっちり握って言った。
「はあ!?誰だよ相手は!女か!?」
「えっ、えっと・・・」
「くっそー!!羨ましいぜ!まさかあの朴念仁カナタに彼女が出来たなんてっ!」
「べ、別にそういう訳じゃ・・・」
「じゃあどういう訳だってんだよ!?教えろよなあ!」
「ストップだ高橋!」
と、委員長が俺たちの間に割って入ってきた。
「助かったよ委員長!!」
「何だよ!お前はカナタの味方だって言うのか!?」
「まあまあ、そう言うなよ」
そう言うと委員長は高橋の隣に座って言った。
「俺も混ぜろよ」
「委員長っ!?」
その後、俺は高橋と委員長に一方的な質問攻めにあっていた。そろそろ防戦に限界を感じていた時、部屋の扉からノックの音が聞こえた。
その音に思わず俺たちは黙りこくる。すると、扉の向こうから声が聞こえた。
「すいません、入ってもいいかしら?」
何だ双葉か、俺は迷わず答える。
「おう、いいぞ」
ガチャッ
「失礼するわ・・・って何してるのよ?」
「ま、まあ色々と・・・な?」
「・・・っと、双葉さんでしたか。カナタ君とキャンプファイヤーですか?」
「え、ええそうですよ。ちょっと色々と縁があったので」
「何だ、2人は知り合いなのか?」
すると、双葉はジトッとした目で俺を見て言った。
「どっちも学級委員長なんだから当たり前じゃない」
「それも、そうだな・・・」
「っと、こんな話してる場合じゃないわ!キャンプファイヤーまでそんなに時間ないわよ!ほらっ、場所取りに行くわよ」
そうして、俺は双葉に連行されるように部屋を出た。
バタンッ!
「なあ高橋・・・」
「なんだよ」
「野郎2人で楽しめると思うかい?」
「多分、楽しめるんじゃないか・・・?」
「・・・」 「・・・」
「はあっ・・・」
・・・・・・・
「ここでいいかしらね?」
「そうだな、ていうか踊らないのか?」
「それは・・・そうしたいんだけど・・・」
何だか煮え切らないな・・・
「じゃあ何で踊らないんだ?」
「照れくさいからに決まってるじゃない!」
そう言いながら双葉はグイグイと俺に近づいてきた。
「出来ることなら私だってそうしたいわよ!でもそんな事ができる程の行動力と胆力はないのよ!?このか弱い乙女心が分かる!?」
「わ、分かったから!落ち着けよ、な?」
すると双葉はキョロキョロと辺りを見渡すとゆっくりとその場に座り込んだ。
「とにかく!私には私のやり方があるのよ!」
「そうだな、俺たちのペースで楽しむか!」
そうして刻一刻とその時間が近づいていった。
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