第8話 回復魔力9999

「これ…どゆこと…」

開いた口が塞がらないままの俺をよそに、彼女は愉快そうに俺に話しかけてくる。

「どう?どう?これが最速のレベルアップ法!。名付けて、死に上がり法!」

彼女が横で自信満々な顔をしている、可愛い。

「……クソだせぇ…」

がーんという効果音が聞こえてくるような落胆ぶりだ。


「……ってかなんで俺は生きてるんだ?」

真っ先に気になっていることを聞く。

「…原理としてはね。まずはここは冥級生物達の物凄い魔力が外に流れることなく満ちているの」

「そして誰かが死んだとき、その膨大な魔力たちがその死んだ人の傷口から入り込んでその人は生前よりもさらに強くなって生き返るってわけっ!」

手でグットマークを作り、私が開発しましたっ!と言っていた。


「ちなみに君のためにね、開発したのこの方法」

「しかも、一応僕が他の冥級生物を狩ってあるからその死骸から出た魔力でさらに強くなれるはずだよ」

要所要所で見せてくるその愛情には少し怖さが付いてきていた。


「じゃ、安心して僕に殺されてよ?」

そういうと彼女はさっさと次の攻撃を始めようとしていた。

「えっ…ちょ…ま」

俺の意志とは関係なく、なくなる意識。


それから何回死んだのか、わからなくなってきた。

「まぁ~君もかなりの回数死んで来たけどさぁ」

俺の死体にまたがりながら、彼女は言う。

「なぁ~んで最近は死んでもレベル上がらなくなっちゃったのかなぁ?」

俺は生き返り、自分のステータスを確認する。



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九先日隼人(魔法剣士)


レベル546


HP23456

MP1

物理攻撃力12348

魔法攻撃力76547

攻撃魔力45680

回復魔力9999



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「それと、今までは触れてこなかったけどなんでMPも変わってないわけレベル1から聞いたことないんですけど」

あきれたように彼女は言うが、その原因は俺にもわからない。

もちろん俺に原因があるのだろうとは思う。

「ぼちぼち私も本気出した方がいいかね」

彼女はそういうと、俺の上に乗っていた重い腰を上げた。



「んじゃ、行くよ」

そういうと彼女の姿はみるみると変わっていった…。

髪はどんどんと短くなっていき、全体的に男らしくなっていった。

「これが僕の本気モードだよ」

彼女?は完全に彼になっており性別が変わっていた。

そして最終的には男ですら見惚れてしまうような金髪に青い瞳の凛々しい…まさしく西洋にいそうな侯爵の王子様を思わせるいでたちだった。


「どう?この状態でイチャイチャしない?」

声も若干低くなってはいるが、かなりさわやかイケメンボーイなイケボへと変貌を遂げていた。

「…俺は男と寝る趣味はねぇ」

俺がそう言い放った瞬間、俺の意識はまた暗闇の中に落ちていった。

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