第23話 シシリア
本当に聖夜は変わっている。
彼奴はもしかしたら美醜が逆転しているのか?
そう思ったら違っていたんだ…流石の俺も訳が解らない。
実際に街で可愛くない女を指さして聞いたら、そう思うと言っていた。
イクミもマトイも、気になったから他の転生者に見て貰ったら…
「普通に気持ち悪い」そう言っていた。
ブス専なのでは?
そういう噂が流れて、容姿に自信のない女冒険者がアタックしたが全員撃沈したんだぜ。
つまり、何か条件があった時にだけ…聖夜には最上級の女に見える。
そういう事だ。
「聖夜、良かったな、三人目を無事迎えられて…」
「ありがとう、オークマン。恩に着るよ」
「さて、これで『オークマン流の奴隷生活』の基本は出来た訳だ。此処からは聖夜の好きな形で仲間を増やしていけば良いと思うぞ?」
「そうなのか?」
「ああっ…聖夜と最初会った時、俺の事を羨ましいと言ったよな? 俺からしたら面が良くてS級冒険者の聖夜の方が遙かに羨ましかったんだ…だがよ、お前と話していると何故か自分のように寂しい人間に思えて手を貸したんだ」
「おい、気のせいか『もう手を貸さない』『付き合わない』そう聞こえるぞ」
「ああっ、そうするつもりだ。『嫌われ者の醜いオークマン』と聖夜じゃ釣り合えねーよ、だからよ、この辺りでお別れだ」
「あのなーーっ僕はそんな事は気にしない。オークマンと友達を辞める位なら他の仲間なんて要らない。今の僕にはガイアよりお前の方が遙かに仲が良い親友なんだよ。だから、そんな事言うなよ」
オークマンは僕にとって…恩人であり、まぁある意味師匠だ。
「ちぇっ…勇者以上とか言われたらよーっ付き合わない訳にいかねーじゃないか」
「本当の事だから、仕方ないだろう? 恋人兼将来の結婚相手は三人も出来たけど、今の所親友は2人…いやオークマン1人しか居ないんだからな」
「親友かよ…本当に聖夜は変わっているなぁ…まぁ良いや、後はもう大丈夫だろう?それじゃ俺はこの辺で失礼するぜ、また明日な」
「また明日」
オークマンはがははは笑いをしながら去っていった。
◆◆◆
「聖夜様、準備が出来ました、さぁ血を少し下さい」
僕は指をナイフで切った。
「さぁ、この呪印の上に血をお願いします」
これで手続きは終わった。
「あの、流石にこの服じゃかわいそうだから、お金を出しますからお披露目服をお願い致します」
「銀貨2枚になります」
「宜しくお願い致します」
シシリアが無料だったんだ、この位は出さないと申し訳ない。
「それじゃあ、シャワーを浴びさせて支度させますので今暫くお待ちください」
「はい」
暫くしてお披露目服に着替えたシシリアは凄く綺麗だった。
「ご主人様、どうでしょうか?」
「うん、凄く綺麗だ」
「ありがとうですわ」
「それじゃ急ごうか?」
「どうして急がないといけないんですの?」
「いや、俺の住んでいる街は隣町だし、服や下着、食器に寝具を買わないといけないから」
「そうですわね…それは急がないといけませんわ」
「それじゃ行こうか」
「はい」
嬉しそうに手を出すシシリアの笑顔は正に王女か貴族令嬢にしか見えない位凄く綺麗だった。
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