第10話 国に売りに行く

王国はエリクラ―の弁済で多分困っているわね



今の私達にとってエリクラ―なんて価値は全く無い。


死なない体なんだから私達には無用なんだけど、賢者のリタは興味津々だった。


現物があるので私も手伝って色々調べたら、あっさり解析できたわ。


賢者と聖女が居て現物があれば解析も簡単だわね。


だって私達、天才だからね。


聖と魔、両方の力がなければ作れない、そういう仕組みだったのよ。


道理で人間じゃ作れない訳だわ。



簡単に作れそうだったので20本作ったわ。


さらに強力にした物1本を含んでね。


可哀想だから、国王に売ろうと思ったのよ。


それなのに...



「国王様はお会いになりません」


「相変わらずね? なら良いわ! 伝言だけ伝えて、エリクラ―が手に入ったけど門前払いされたから教会に売りに行くってね、もう知らないわ」



振返らず、ゆっくりと歩いて教会に向った。



「待って下さい!ロザリア様.はぁはぁ、ぜいぜい.王がお会いになるそうです」


まぁ、そうなるわよねエリクラ―だもの。


「もう、遅いわ、会う気は無いわ、さようなら」


「待って下さい!そんな事言わないで下さいよ!私の首が飛びますから」



「飛んでも、私痛くないわ」


「そうだよね、別に僕の友達じゃないし」


「私も同感だ」


「俺は可哀想だと思う!だが門前払いをしたのはそちらだ、王が自らくるなら話位は聞いても良いんじゃないか?」



「そんな...無茶です」



「これが精一杯の譲歩よ、20分此処で待つわ、それが過ぎたら教会に行くからね」


「解りました」




暫く待つと、息せき切らして王が来た。



「ハァハァ、待って下され、エリクラ―をお持ちと言う事は本当ですか?」


「ありますよ? 聖女の私が保証します。」


「だったら、それを売って下され...お願いしますから」


「そうね良いわ、但し高いわよ」


「詳しい事は城で聞くから...一緒にきて下され」



◆◆◆




「さて、聖女殿、このエリクラ―は教会にあった物ではないか? 貴方は持ち出した事がある」


なにその高圧的な態度。


「いいえ、私が作った物ですね...」


「嘘はやめた方が良い!エリクラ―は簡単には手に入りませんし、宮廷魔術師の私でも作れません」


次の宮廷魔術師? 何か才能なさそうね。


それに『譲って貰う側の態度』じゃないわね。


「騎士団で迷宮に潜っても手に入らなんだ!いかようにして手に入れたんだ」


宮廷魔術師に騎士団...私からしたら弱者だわ。



「これは俺たちが迷宮で見つけた物だ」


うん、作れるなんて言えないからこう言うしかないわね。


流石、セイルだわ。



「駆け出しの冒険者が手に入れられる物でないだろう」


聖女が居るのに..馬鹿じゃないかしら?



「それで、ロザリア殿、これがそれと違うとどう証明する」




「国王、まずは実力を証明するわ...セル1人で充分よね?」


「楽勝、楽勝...それじゃ」


そう言うとセイルは一瞬で距離を詰め、宮廷魔術師と騎士団長に当身を喰らわせて倒した。



「国王、私、聖女なんですよ? たった4人で魔王と戦う存在、その戦力を宮廷魔術師や騎士団長と同じに考えないで貰いますかね?」


「実力があるのは解った、だが、そのエリクラーーの証明にはならない」


また、いちゃもんつけて...良いわよ、それなら。


「はいはい、それじゃ証明すれば良いのね」



「出来る物ならして見るが良い、ふんっ、どうせ、教会から持ち出した物を持ってきたのじゃろう見え見えじゃ」



「許可がでたようね...それじゃ証明するわよ?切断」


私が手を軽く振ると王の首が宙に舞った..



「王族殺し...貴様ら」


家臣が煩いわね。


「まだまだだ、行くよ...千斬り!」


ナイス、カルダ。


王の体がバラバラになった..


「あっあああああっ 王、王が..」



「まぁだだよ!私の番、灼熱の炎で燃えろ!ファイヤー」


リタの魔法で



王は灰になった。



「貴様ら、王を殺してタダで済むと思うなよ..」



「待ちなさい!この状態でも、この超エリクラ―を掛けるとほらね..」


私は灰に超エリクラ―を振りかけた。


すると光り輝き王は元の姿で生き返った。



「儂は死んだはずではないか..」


呑気な物ね。



「この超エリクラ―は、死んでも直ぐなら蘇生するのよ!教会の劣悪なエリクラ―と違うわ!最も超エリクラ―はこれ1本、後は普通のエリクラ―だけど」



「そんな貴重な物を使ってしまったのか!ああああっ」


「さぁ、証明したわよ!それにこれのあった場所はコダールでジャルダからお金出して買った情報の迷宮で手に入れたの? 文句ある!」


「ない...なら1本金貨300枚で購入してやろう」


「無理、貴重な1本を貴方のせいで無駄にしたわ、それにそんなゴミみたいな金額でエリクラ―.を売る訳無いじゃない?1本でも王城並みの金額なのよ?1本金貨10万枚、19本で金貨190万枚なら売るわ」


「馬鹿な、この城の宝物庫をひっくり返してもそんな金額無いわ」


「そう、なら、この城の中の物全部に今回は負けてあげるわ」


「そんな事出来んわ」


「それなら持ち帰るわ!もう騙されないわ、証文が無いからと、約束の報奨も渡さなかった恨み忘れてないわよ!エリクラ―1本でも王城と同価値、本来ならこの城19個分なのよ...此処まで負けて文句言うなら、他国か教会に売るわね、さようなら馬鹿な国王さん」



「貴様言わせて置けば、こいつ等を殺せ!」



「良いのかしら? 私もう体治っているのよ? たった4人で魔王に挑んだのよ?私一人でも皆殺しに出来るわ」



「聖女1人に何が出来るか...」



仕方ないわ...本当は4人居るんだけど..馬鹿じゃないかしら?



「僕に任せて...デットリーデス」



ああっ馬鹿みたい。


リタを怒らせるから、死んじゃったわね。



「なっ...集団死魔法だと」



「流石は、今の宮廷魔術師..1.人だけ生き残りましたね」



「なら、物理で首でも刎ねよう! 死ね」


ナイス、セイル。



「ねぇ...王様...もう貴方1人ね..」



「こんな事して許されるものか?」



「誰が私に文句言うの? こんな城の人間何時でも皆殺しに出来るのよ? 前もこうすれば良かったわ!」


まぁ、あの時は病で出来なかったんだけどね。


「それが聖女のする事か...まるで悪魔じゃ」


「何で私に聖女の行動を問うの? 貴方は勇者も賢者も剣聖も見捨てたわ!女神だって見捨てるわ」


「それは、仕方なかったんじゃ」


嘘ばっかり。


ただ褒賞が惜しかっただけでしょう。


「まぁ、良いわ...許してあげるわ..今後は逆らわない事ね!私を倒したいなら、近隣から兵を集めて10万人は必要だと思うわ!それでも負けない自信はあるけどね」



「助けてくれ、もう逆らわない、約束する」


「リダル、誓約魔法を掛けて」


「解ったよ、コントラクター」


「なっ何をしたんじゃ..」


「誓約の魔法を掛けたのよ!これで貴方は約束通り逆らえない!逆らったら死ぬし、生まれ変わる事無く地獄の苦しみを味合う」


「嘘じゃそんな魔法は無い」


「信じないの?それじゃ、ほら良いわ、殴ってみな..ほうーら」


私は王の手をとって私を殴らせた。



「うがやややややややややややっ」


「うふふ、ほらね、痛いでしょう...軽く殴っただけでそれなのよ..」


「そんな」



「それじゃ、戻すわ...リカバリーゾーン」



「私達は...死んだ筈では...」



「今回は、戻したけど、次はないわ!それじゃ金貨190万枚分貰っていくわ」



「お渡しいたします..ですが、本当にそんなお金は無いのですじゃ」


流石に無いか..それなら。



「うん、お金は宝物庫にあるだけ全部、宝も全部それで手を打つわ」



「それは...」


「煩いわね、お得でしょうが約9割引き以下よ、9割引き以下!」


「それじゃ...国が回らなくなります」


「馬鹿ね、あんたちゃんと勘定しなさいよ」


「勘定ですか?」


「よく考えなさいよ、エリクラ―を全部買って、教会に1本色つけて12本返します、それでも7本余ります...これを教会に売れば儲かるじゃない?」


「確かに...」


「そう、それだけあれば私達に支払ったお金の何倍になるのかしら?」



「そうであった..うむ..実に儲かる話じゃ..申し出を受ける事にしよう」



しかし、この体は凄いわね、今迄使えなかったような大掛かりな魔法が楽に使えるわね。







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