8 テンルウ山での戦い

 ロボットがもうスピードでとっしんしてくる。かたなさんぼんつるぎいっぽんぜんぽうきだしながら。シグマをくししにするつもりだ。


 シグマはいそいでよこに、つづけてうしろにもステップをふんだ。

 そうすることで、ロボットのイノシシみたいなとっしんをかわした。


 このロボットこいつ、たしかにうごきははやいけど、よけきれないほどでもないぞ! 

 こうげきたらなければ、すくなくともにはしない。

 シグマがそうかんがえたしゅんかん、ロボットがてんじょうちかくまでかびあがった!


「……マ、マルスだっ! このロボット、マルスでかんでるんだ!」

 ロボットをゆびさしながらこうふんにさけんだジャンがこしをぬかした。

 シグマもびっくりだ。まさかかぶだなんて!!


 くうちゅうかんでみせたロボットのなかにはよんほんさやがある。

 おなじくなかこしぶんに、おおきさがすいとうよりもすこしながくてふといぐらいのつつもあった。

 そのつつよっつ。よっつのつつからプシューッとあかいマルスのひかりきだしている。


こうせんが、マルスのちからすいちょくかびあがるのとおなくつなんだ! すげえや!」

 こんなときだというのに、ジャンはおおよろこびだ。でも、こしはぬかしたまま……。

よろこんでるあいか! 立てよ、ジャン! おれたち、ぬかもしれないんだぞ」

 シグマはジャンにしだした。


「ひぃ! そうだった」とってシグマのをにぎったジャンをりあげる。そうやってジャンをちあがらせたとたん、ロボットのりょういろひかった。

 ひからせるとどうに、ズゥゥーンともうスピードでロボットがとっしんしてくる。

 くうちゅうから、ソーサリー・ストーンをそうしたつるぎいちげき! シグマが、ぎりぎりのタイミングでそのこうげきをかわすと、めんがフライパンのそこのように

 たいりょうすなぼこりがきあがる。

 そののなかから、ぬっとてきたロボットのかたながふりろされた。

 シグマはそのかたなこうげきを、ニセモノ・サーベルでけとめてみせた。

 だが、こうにはまださんぼんもある。


 ふつうのかたなであれば、ニセモノ・サーベルでけとめても、さほどもんだいにはならない。だいじょう、たえられる。だけど、ソーサリー・ストーンつきのつるぎだったあいは、けとめたしゅんかんになってしまうだろう! 

 ソーサリー・ストーンつきのつるぎこうげきされたら、そのときは、よけるしかない。


 かたなこうげきをサーベルではじいて、つるぎこうげきかみひとでかわしたシグマは、ロボットのよこばらをおもいきりばした。

 ロボットはさんメートルんで、ガシャンッ! というおとてながらたおれた。

 しかし、すぐにむくりときあがった。……ダメージをらったようにはえない。


 まずいぞ、このてんかい……。シグマのなかに、たくさんのあせった。


 げようとしても、このロボットのスピードなら、なかせたとたんにころされてしまうだろう。じゃあ――どうすればいい!? どうすれば……?


かたない。おれがロボットをきつける。ジャンは、そのあいだにげるんだ!」

 シグマはそのほうほうしかないとおもった。

「なんだって!?」ジャンはびっくりしている。「なにってんだよ、シグマ!」

げろとったんだ!」

ともだちをてろってうのか!?」

 こえひょうじょうも、ジャンはあきらかにおこっていた。

「そういうふうにはってないだろ!」

ってるんだよ、シグマのバカ! そんなことするぐらいなら――ぼくもたたかうぞ!」

 ジャンは、しゃべるゴーグルが入っているカバンからくろけんじゅうりだした。


 えっ! けんじゅう!! なんでジャンが、けんじゅうなんかってるんだ!?

 おどろかされたシグマがきくと、ジャンはひょいとかたをすくめた。


「シグマもってるだろ? かいせいからきんだん調ちょうせいしきみとめられたじんだんたいには、ねんれいかんけいなく、しょ使ようみとめられている――ってことをさ」


 ああ……そうえばそうだった。シグマはおもした。


きんだんには、どんなけんがあるかわからない。このけんじゅうは、かいせいからきょをもらっただいがくが、調ちょうたいのメンバーにしているマルス・ガンさ」


 マルス・ガン。じゅうだんではなく、マルスのエネルギーだんちだすじゅうのこと。


「おいおい、ジャン。そんなものがあるなら、さっさとしてよ!」

「だって、こわかったんだ! ぼくはプロのぼうけんじゃないし、こんらんしてて――」

 そのプロのぼうけんのシグマは、ほんものそっくりのニセモノ・サーベルしかっていない。がくせいのジャンはマルスを使つかったってるのに……。なんだかちょっとふくざつぶんだ。


 ロボットがジャンをた。

 キュウィン、キュウィーン……そんなおとてながら、ロボットはくびをまわしはじめた。

 ロボットは、シグマとジャンのりょうほうこうつづけている。

 シグマとジャン、どっちをこうげきすべきかまよっているらしい。


「……ジャン、いまのうちにさくせんかいだ。ちょっとおもいついたことがある」

 シグマはまねきすると、「……なんだよ?」と、かおちかづけてきたジャンにみみちした。

「……えぇっ、ほんとか? ほんとに、そんなことするの?」

 ごえいながら、ジャンはうめしをくちにふくんだようなしぶひょうじょうになる。

「シグマがあぶないだろ」

あぶなくても、それしかないとおもうんだ。――というわけで!」


 シグマはロボットをにらみつけた。


「さっきのやつ、もういっかいやってみろよ! かんでからとっしんしてくる、あれ!」

「シグマっ!」と、ジャンはしんぱいそうだ。

「いいんだって」シグマはこえをひそめた。「さくせんなんだから。こんは、おれがつ」


 それに、あのわざは、もうった。


「それともぎんいろ、ロボットのおまえは、どものおれにけるのがこわくて、さっきのわざせないのか? そうだよなぁ、できないよなぁ。ロボットのくせによわむしそうだもん」

 シグマがまたしてもちょうはつすると、ロボットのがんきゅうのないりょうがちかちかとこうそくてんめつしはじめた。こしつつからマルスをきだし、ふたたびくうちゅうへとかびあがっていく。


 あれ……マジでおこったのか? それなら、やったぜ! シグマはほくそんだ。


 ちょうはつされておこるだなんて、ロボットってやつも、がいたんじゅんなんだな。オッケー、それでいい! そんなことをかんがえながら、シグマはこころのなかでなんもにやりとわらった。


 ――と、そのときだ。ロボットがソーサリー・ストーンつきのつるぎとっしんしてきた。


 シグマはぎりぎりのタイミングで、そのこうげきをかわした。

 ロボットのつるぎが、ズザンッとめんさる。

 シグマはそのいっしゅんのすきをのがさなかった。

 ぜんたいじゅうをあずけて、ロボットのなかにおおいかぶさるや、てきうごきをめる。

 もちろんロボットには、まださんぼんうでと、おなかずだけのかたながある。

 ヒュッとくびをねらってきたかたないちげきを、シグマはロボットのなかにおおいかぶさったまま、ニセモノ・サーベルでけとめた。

 ロボットののこほんかたなは、すばやくシグマのわきのあいだに

 ソーサリー・ストーンつきのつるぎは、シグマがロボットのなかっかっているせいで、まだめんさったままだ。おもくて、ぬけないのだろう。


「ジャン、いまだ!」


 ジャンのひょうじょうはあからさまにきつっている。おびえてもいたが、それでもゆうをふりしぼって、「うおおおおッ!」とさけびながらはしりよってきた。

 そして、つるぎつロボットのくびにマルス・ガンをきつけた。


 じゅうこうがひらめき、あかひかるマルスのだんがんが、ロボットのくびかんつうする!

 さらにもういっぱつ! これで、ロボットのくびせつだん


 にんげんおなじことをされたらいたくてかたないだろう。。

 でも、ロボットはいたみなどかんじていないようだ。へいぜんとしていた。ちっともいたそうじゃない。それでいい。べついためつけたいわけじゃない。さくせんどおりだ。


 シグマはいそいでロボットのなかからはなれた。そしてすばやく、ロボットのせつだんされたからちた、ソーサリー・ストーンつきのつるぎをひろいあげた。

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