恋焦がれ、焼ける。

カナタハジメ

「恋焦がれ、焼ける」

桜舞い散る、出会いの春。よく、アニメとか、ラノベに漫画に使われるテンプレ化したこの状況下。まぁ使うんだけど…。それは置いといて!!そんな中、僕は一人の先輩と出会った。これはその出会いから始まる一幕の青春の物語だ。そして、


"ねぇ後輩君、私さ、君に惚れたみたい。彼氏になってよ"


こんな、始まりのラブコメは男子としては夢物語だ。だか、これは僕にとってはまたそれは違う物なのだ。



キーンコーンカーンコーンとチャイムが鳴り響き僕はトテトテとうつむきながらトイレに向かった。この世界の会話はいつも雑音のように聞こえてくる。たわいのない会話のはずなのに、昨日のドラマだの、ゲームの更新状況だの、そんなたわいの会話なのに僕にはすべてが雑音に聞こえてくる。でも、原因は分かってはいる。中学の頃のトラウマから来ているのだろう。だけど、僕はこれでも困ってない。他人なんか、興味がない、一人十分だと思っていた。だから、だろうか…全てが、から返事になってことが進んで行った。そして、気づいたら、一つ年上の彼女が出来ていました。あ、殺さないでね。お願い。…でも、こう言っちゃなんだけど僕は彼女のこと何一つ知らない。ただ単に好きと言われて、頷いたそれだけ。…正直に言おう。僕は嬉しかった。誰かに必要とされることが、嬉しかった。だから、結果オーライと思っている。別に、彼女だからと言う理由じゃあない。だから、いつも、僕の隣にいて微笑んで幸せそうにしている彼女に僕は凄く申し訳感じている。そして、彼女と日々を過ごすうちに申し訳感じるのと同じくらい…いや、それ以上に羨ましく思った。


「あ、後輩君だ!」


右手をふりながら、彼女が僕のとこに駆け寄って来た。


「後輩君、今からご飯?」


「はい」


外は、快晴だと言うのに、雨の日の様などんよりとした空気が満ちたように沈黙が繰り広げられた。


「…一緒に食べます?」


「うん、そーしよか」


彼女はいつも、僕の真横を歩いてくれる。歩幅も、会話のテンポも合わせてくれる。


「ねぇ…君はさ、今楽しい?」


「……」


彼女、先輩にそう聞かれた僕はいつも黙り込んでしまう。


「…うんうん、なんでもない…いや、でも、その、私は君が大好きだよ?」


「…ありがとうございます、先輩」


僕は、本当に先輩が僕のことを好いてくれていることは分かってる。でも、どうしても裏があるんじゃないかって思ってしまう。そして、必要としてくれてうれしいって気持ちに板挟みされて、結局こんな言葉しか先輩に伝えられない。


「先輩、その、この後デートします?」


「え、うん!!行こ!!」


こんなだけど、免罪の為か、先輩が喜ぶことをしてあげたいって思っている。だから、少しでも彼氏を今は演じたい。


「そーだ、これ、プレゼント」


先輩はそう言って、僕に帽子をかぶせてくれた。


「…何っていうさ、ほら!私たち春から付き合ってるけど、その彼氏彼女みたいなことすくないなぁって思ってさ…プレゼントから?って思ったんだけど…いや、かな?」


ごめん、先輩。僕はいま…あなたの声ですら雑音に聞こえてしまう。何って言えない。


「ありがとうございます、先輩」


こんな、取って付けたような言葉でも、先輩はニパっと満面の笑みを浮かべてくれた。


「じゃあさ、後輩君、どこに行こうか」


思った。たとえ、これが、恋心じゃなくてただ単に僕の勝手な依存症状だったとしても、彼女には幸せになってほしいって、そこに、僕が必要なんだったら僕は彼女の彼氏になるって、それが、例え、演技になったとしても。


「そうですね、まず、室内ですし帽子は脱がしていたただいて」


「え、脱いじゃうの?」


「え、いや、まぁ…今から昼ごはんですし、それにせっかく貰えたのに先生に没収は笑えないですから」


「…嬉しくなるけど、なんか、言い訳感あるその言い方で喜んだらちょろい人みたいになるから喜ばない」


「なんですか、それ、まぁこの帽子はデートの時に被りますけど」


先輩は両手で口元を押さえて悶えた。


「…先、行きますね」


「ちょっ!待ってよ~!!」


昼ごはんを食べた後、僕は先輩と分かれ教室へと帰った。



午後の授業も終わり教室から人が少なくなった時


「に、しても、お前が彼女持ちとかありえねぇな」


「なんだよ、村人A」


「おい、こら」

 

教室に帰ると唯一の友達である村人Aが僕に絡んでいた。


「いや、お前には感謝してるんだ…お前のおかげで雑音がましになってるからな、先輩とも最近普通に、話せるようになってきたし…」


「お前、あれが、普通?最後の方はまぁ、認めてもいいけど最初の方はダメだろ、あれ」


「村人、見てたのかよ」


「おい、さすがにAつけろ、俺の名前が村人みたいになるだろうが、てか、俺にはこんな冗談が言えるんだな」


そう、何故か、村人Aの声は雑音に聞こえない。先輩の声は雑音に聞こえるのに。不思議だ…………いや、わかってる。理由は分かってるんだ。村人…いや、早瀬は俺にとって特別なんだ。先輩と出会う前、受験の時の話。俺のトラウマ…僕は、中学の時いじめられた。そのいじめは、みんなもよく目にしてきたものと同じだと思う。でも、勘違いしてほしくない。君たち傍観者からみたいじめと僕、被害者から見る、いじめは別物に見えるってことを。友達だと思っていて人、それに守ると言ってくれた先生さえもただの傍観者となった時、格段とレベルが飛び上がる。

受験の当日、僕の進学を考えていたところにいじめっ子たちがいた。案の定、いじめられた。あぁ、もう駄目だなって心の中で諦めていた。もうその時すでに僕はすべて雑音に聞こえた。でも、その時、静かになったんだ。だから、僕、死んだのかって思った。でも、あの時、晴天の霹靂のように早瀬の声がこの雑音だらけの世界から抜け出したかのように僕の耳に届いた。


"俺の目を見ろ!!俺の声を聞け!!大丈夫だ!!!"


って。その時、早瀬だけが傍観者の席からこの舞台に上がってきてくれたんだ。それがどんなに危険な行為なのかもわかっていて、こいつだけが、傍観者じゃなくなったんだ。


「ありがとな、早瀬」


「……なんだよ、お前」


「村人こそ、僕の名前、読んでくれよ」


「おい、村人にもっどてるじゃあねぇか、もうよばねぇー」


僕たちは、笑った。うん。笑えるようになってるんだ。だから、先輩には申し訳なさがあふれてくるんだ。いつか、先輩に笑ってあげられるだろうか。


「でもさ、前川」


「あ、呼んでくれた」


「…お前さ、なんか、勘違いしてないか?」


「え?」


その時、僕のスマホが揺れた。


「あ、わるい、先輩待たせてるみたい、行くわ」


「あ、おい!」


僕は早瀬を無視して先輩の元に向かった。


「あ、すみません、待ちました?」


「うんうん、待ってない…こともない、いや、すごく待った」


先輩の様子が昼の時と全然違った。


「何か、ありました?」


「え、いや、後輩君はさ、友達とはあんなに笑えるんだね」


「え」


この時、僕は何者かに心臓を握られた気分になった。


「ごめん、ちょっとからかいたかっただけだから…てっ、え、!?ご、ごめん、そうだよね、友達としかわからないようなことも、あるよね、私べ、別に後輩君にそんな顔してほしかったわけじゃなくて、、、え、え、…ごめん!」


先輩は、すごくテンパってそういった。…って僕、今どんな顔してた?おい…ほんと…あの頃の事おもいだしたりなんかしてしまったせいで…


「…すみません、僕…先、帰ります…」


僕は、走り出そうと、した。その時だ、先輩は僕の腕をつかんだ。


「待って」


「……離してください…」


「…嫌」


先輩の顔が見れない。この人の幸せの手伝いがしたいのあんなこと言わせてしまって、僕は…

ふと、優しが僕の体を包んだ。


「…逃げないで、後輩君…話、しよ?」


そこか、僕たちは近くの公園を訪れた。夕方だけど、そこまで暗くないはずなのに、いつもの夕方より暗く、重く感じた。そんな中、先輩はユラユラとブラントをこいでいる。僕はその先輩に背を向けて、突っ立っていた。


「で、どうしたの?後輩君」


「……」


僕は、沈黙でこの時の流れから逃れようと考えた。


「黙ってちゃあ、わからないよ?」


「………………っ」


僕は、固唾を飲んだ。その時、先輩の腕が僕を優しく包んだ。


「ねぇ…教えてくれる?後輩君の事」


言ってしまった。すべて。中学の時のこと、雑音のこと、俺から見た先輩の事。


「そっか……私の言葉も、そう聞こえてるんだね…」


「……はい…」


なんとも、言えない気持ちが胸のあたりに渦巻く。ぐるぐると、螺旋を描くその渦は、多分、僕の表情にも影響を与えている。


「……ごめんね、我慢させちゃってたよね…」


「いいえ、先輩、僕は、楽しいですよ、先輩といて」


「雑音に聞こえてるのに?」


「それは、…………」


先輩は腕をほどき僕から少し距離を取った。


「ねぇ…」


見れなかった。傷つけてしまった先輩の顔を僕はみれなかった。


「……せて」


先輩はかすれた声で言った。


「先輩?」


僕は、悪寒を感じたせいか振り向いてしまった。


「早瀬って奴に会わせて!!」


先輩はかすれた声とは違って、はっきりと叫んだ。僕の雑音フィルターの効果も受けず。


「え?」


「いや、だって、ほら、なんて言うかそれは仕方なし…というか、そんな、後輩君のことも気づかずかなかった私が悪いし…でも、悔しいじゃん…彼女なのに、友達に心救われてるとか、私の実力不足じゃん!!、私後輩君に惚れてるのに!!くやしい!!!!だから、会う。私はあって、後輩君のそれを解いた技術を盗んでものにして、後輩君を私の事しか考えられないくらいに惚れさせたい………でも、あの時…やっぱ後輩君は攻めかな…」


「ちょっ!先輩!?すごく宣言してくれたみたいですけど、最後のなんですか!?」


先輩は、満面の笑みを浮かべて僕を見つめた。


「その顔は、多分、素だよね」


「え、あ…」


その時、いつもより目を吊り上げている感じかした。


「…これは、やっぱり物にしたくなるね、じゃあ今から早瀬のとこいくよ後輩君!!」


そういって、僕は腕を引っ張られた。でも、僕はそれを振りほどいた。


「…どうして、先輩はそこまでしてくるんですか?僕は、最低な奴ですよ…僕の依存感情だけで、別に、先輩のことを本当に好きじゃないのに…彼氏として…」


「そー言われると傷つくな~…、そうだね、私、後輩君の話聞いて、少し傷ついた…いや、すこぶる傷ついた!!……でもね、私後輩君が好きだからさ…何とかしてあげたいっておもちゃう方が強かった。厚かましいかもしれないけど、早瀬君みたいに君の支えになってあげたいと思ったんだ」


「…理由に、なってないですよ」


先輩は人差し指を自分の頭に付けた。


「つまり、恋焦がれた者はここが壊れるんだよ、普段はそんなことしないのに恋してしまった相手には役に立ちたいって、私って存在を好きな人に刻みたいって…そう思うんだ、だから、私は後輩君をものにしたいからやるんだ…免罪?だったら私に恋してくれよ!!!…ってごめん、欲望が……だから、つまり…私は君に恋焦がれた。これが、理由」


「だから…」


僕は何言ってるかわからなかった。でも、先輩は聞き分けないなっと叫んで結局、早瀬のとこに行くことになった。



「で、俺のとこに来たと…何考えてんすか、先輩」


「……いや、彼女のメンツ丸つぶれだし?」


「いや、メンツもって、前川は先輩のこと好きじゃないんですから、彼女と言っていいんですか?」


「……いいもん、最終的にデレさせるからいいもん…それに、本音を聞いただけで、別に分かれてないから…後輩君は私の彼氏だもん…」


先輩は駄々をこねた。早瀬はなんだこのめんどくさいのって顔をした。


「まぁ、このめんどくさい置いといて、お前はどーなんだ」


先輩は、早瀬に向かって失敬なっていってたが僕の耳にはそんなことは届いていなかった。どう。ぼくは、わからなかった。先輩がこうなってる理由も、何もかもすべて。


「わからない…」


また、あの沈黙が空気を重くする。


「…わりぃ…聞き方がまずかった…前川、お前はなにがしたいんだ?」


「……償いたい、先輩はいつもこんな僕なのに、本気で向き合ってくれてて、恋愛をしようとしてるのに、僕は演じてるだけだった。すごい、酷いことをしてきた…だから償いたい……でも、それ以上に、先輩といて、先輩が羨ましかった。雑音ばかりの俺の世界と違って、この人は、そんなのに気にしないで本気で生きてるんだっておもうと…羨ましくてたまらなかった。だから、僕は…先輩の言葉を、雑音なしで聞きたい…先輩って人を知りたい…そうした…先輩の望道理…デレるかもしれないし…」


「後輩君……」


先輩は涙目になりながら、僕に抱きついた。


「…絶対に、後輩君お…デレさせるから!!!」


「いや、論点、そこじゃ、ねーだろ………たく…、じゃあさ、前川、トラウマは忘れれるものじゃない…でも、お前は言ったんだ、雑音なしの言葉を聞きたいって、だから、やることは一つ。先輩を信じろ」


「うん」


少し、気が楽になったかもしれない。


「じゃあ、早速明日、デートしよ!後輩君!!」


「はい」


この時、早瀬はやるせない顔を浮かべていた。



「て、ことで翌日!やってまいりました!ゲームセンター!!!」


「何、言ってるんですか?先輩」


ここは、僕らが通う高校の近くにあるゲーセンに僕達はデートをするためやってきた。


「さっ!行くよ後輩君!!」


「ちょ先輩!?」


僕は強引に引っ張られて連れまわされていく。このゲーセンの端から端まで。でも、楽しかった。昨日の発言のおかげですごく楽になっていた。でも、遊ぶたびに…音ゲーで、壊滅的なリズム感を披露した先輩。クレーンゲームで、壊滅的な空間把握能力を披露した先輩。シューティングゲームで、壊滅的な動体視力を披露した先輩。ゲーセンを歩むにつれて、先輩がいたたまれなくなっていく。そんな、先輩にはもうゲーセンにやって来た時の元気が残っていなかった。それどころか涙目になっていた。でも、いま僕は少し笑えている。先輩のおかげで。


「…ごめん、後輩君…少しトイレに行ってくる…」


よっていないのに千鳥足になっている先輩はトイレに逃げて行った。でも、本当に今日は…


「…楽しいな」


ベンチに腰かけた僕はそう呟いた。でも、この時後悔した。呟いたこと。いま、楽しいと感じてしまっていること。


「あ、前川君だ」


背筋が凍る。冷や汗が頬をつたう。少し、ましになっていた雑音が大きく渦を巻いて僕を襲ってくる。あぁ…楽しいなんて思わなければよかった。こんなに気持ちが高まっているに…落ちたらもう僕は…


「なにしてるの?こんなとこで…あ、そうだこないだ邪魔されたから」


あ、ぁああああああ壊れていく。外れ始めていた鎖がまた僕の体に絡みついてくる。僕はいつの間にかベンチから落ち、雑音の原因となった彼から距離を取るため後ずさっていた。そう、この声の持ち主は僕をいじめていた奴の声だ…。壊れていく、すべて。息が吸えない…吐けない?アレ、吸えない?…あれ…アレ?どっちも?アレ…怖い…怖い…


「ちょっと!何してるの」


あの時みたいに突如この雑音の世界の中から一筋の光が差し込んだ。そして、僕の肩に優しい温もりを感じる。


「私の目をみて!!私の声を聞いて!!」


この時、初めて雑音なしで…本当の先輩の声を聞けた。…僕って単純だよな…。心が落ち着いて行く。


「大丈夫?」


先輩は微笑みながら僕の目を見てくれた。だから、僕は頷いた。そしたら、先輩は立ち上がり振り向き声色を変え雑音の原因に口を開いた。


「なに、してるの君?」


「え、あ、う…………」


雑音の原因の彼はうつむいた。でも、彼を逃がさまいと先輩が問い詰める。


「私の感だけど…君だよね、中学の時、後輩君をいじめてたのって」


彼は、固唾を飲みコクリと頷いた。それを聞いた先輩は僕を引っ張り上げて彼に背を向け歩きだした。


「あ、ちょ、ちょっと待って!」


彼は、声を張り上げ僕たちを引き留めた。


「まだ、なにか?」


先輩は威嚇するように彼に問いかけた。でも、彼はそれをものとせず拳を握り僕に話しかけてきた。


「前川君…聞いて話聞いて欲しいこがあるんだ…聞いてくれるか?」


「そんなの聞くわけ!「いいよ」…え?」


先輩は顔を歪めて僕を見つめた。でも、そんな先輩から離れて僕は彼の前に立った。だって、彼の言葉が雑音には聞こえなかったから。


「いいよ…聞かせて」


先輩の視線を感じる。でも、僕は気になった。どうして、今の彼の言葉がどうして雑音として聞こえなかったのかを。


「…俺は、前川君に謝りたかった…入試の時、謝ろうと思ってた…でも…、勘違いされて…結局謝罪できなかった………だから、今ここで言わせてくれ…ごめん…中学の時、俺は君と友達になりたかったんだ…だけど君とどう接していいかわからなかった!だから…いじめていまった…僕だけならまだ謝ったら許してもらえると…考えが甘かった…そこに、他の友達が加わってしまって…先生は止めてくれなくて…そして、エスカレートしてしまったんだ…ごめん…戯言に聞こえてるかもしれない…でも、それでもいい…俺は、やめれなかった…言い出しっぺだから…目の前で君がやられて幾たび言い出せなくなった…俺もそうなってしまうかもしれないって思ってしまった…ごめん、ごめん…ごめんなさい」


彼は膝から崩れ落ちた。まるで土下座をするように…でも、気づけばもう世界から雑音がしなくなっていた。


「いいよ………とは、言えない」


彼は肩を少しぴくっと震えさせた。


「でも、ありがとう」


「え?」


彼は、間抜けな声を出して僕の顔を見るため恐る恐る顔をあげた。僕は膝をつき、彼との目線の高さをあわせた。そして、彼の目を見た。もう、彼からは恐怖を感じなかった。


「…僕は、君のことを許せないし許したくない…でも、それと同じくらいに感謝してる…君のおかげで僕はかけがえのない友達と出会えたし、こんなにも僕のことを好きになってくれた彼女もできた…だから、君には感謝してる」


そう感謝しているんのだ。


「で、でも…」


「…じゃあ、やり直そうよ」


僕は、彼の肩を握り倒れていいる彼の上半身を引き上げて僕は言った。


「今、僕は君に対してプラマイゼロと思ってる…でも、今でも君がしてきたことが脳裏に浮かぶ……だから、僕たち友達になろう…そして、いっぱい楽しい思い出作って、このことを笑い話にできるぐらいにまで仲良くなろう…」


「前川君…」


僕たちは微笑みあった。すべてが浄化されるわけではない。過去にあったことは変わらないし変えられない…でも、脚色はできる。それが、プラスの思い出なのか、マイナスの思い出なのかそれを決めれるのは今の自分だから…まぁ…こんな、l子と言えるのも、最高の友達と彼女のおかげだけど…。


「あのさ」


こんな、空気の中、先輩の声がした。


「すごく、雰囲気の中さ…悪いんだけど…後輩君…私は悔しいよ…彼女のはずなのに君の友達に二回も負けるんなんて…………まぁ…今の君たちを見て…私の時よりいい彼氏なってって私悲しいよ…てか、そーいえば…私しか惚れて無かったんだっけか…つまり、元いじめっ子君のせいで、私は彼氏である後輩君に放置プレイをかまされてると…泣けてくるねこれ…」


僕は頬をかいて苦笑いしかできなかった。その時どんと腕が持ってかれたと思った瞬間、彼と僕との距離が一瞬にしてあいた。原因はそう。先輩である。先輩は僕の腕に絡みつき…つまり腕を組まれた。


「あ、俺…邪魔ですよね?…帰ります…あ、これ俺の連絡先…ありがとうな」


「うん」


先輩が絡める力を強くした。


「はい、これで、終わり、はい!終わり!!ってことで帰った帰った」


「あ、はい」


そういって、彼はやるせない気持ちで帰って行った。そして、今何故か沈黙が続いてる。でも、先輩がしびれを切らして先に口を開いた。


「なんか、腕組って恥ずかしいね…」


「…そうですね…でも、先輩…昨日、僕の事抱きしめませんでしたか?」


「それね、本当そうだよ初めて抱きついたのに平常心保ってたって私すごくない?」


「そうですね」


僕は先輩を、先輩は僕を、お互いを見つめながら笑った。


「じゃあ、先輩、デートします?」


「しよか!」


先輩は、はにかんで笑った。でも、先輩…これ以上の壊滅的はいらないよ…。



黄金色の空が広がり、幸せの余韻が沁みてくる夕方。よく、アニメとか、ラノベや漫画に使われるテンプレ化したこの状況下。まぁ使うんだけど…。それは置いといて!!そんな中、僕は一人の先輩と帰路についている。


「ねぇ、先輩」


僕は、先輩の目を見つめた。


「どーかした?」


先輩もまた、僕の目を見つめている。


「僕さ、先輩にベタ惚れしたみたいです。彼女になってよ」


僕は、少し体か熱くなった。だが、先輩はぷくりと頬を膨らませた。


「もー彼女だもん」


「あ、そうですね」


僕と先輩は笑った。


これは、僕と先輩が本当の恋人になって始める一幕の青春の物語だ。




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恋焦がれ、焼ける。 カナタハジメ @kanatahazime

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