第114話 最終決戦
「お前の望みは叶えてあげたぞ。ありがたくその体を頂くぞ」
ファルコンの体が急に金色に輝きだした。
「絶望の力が我を呼び覚ました。不完全な力だがこの世界を終わらせるには問題ないだろう。我の復活を邪魔をしていた7つの厄獣を始末してやる。まずは、お前だ白銀狐!」
「あなたは誰なの?」
白銀狐は異様な魔力を感じて大雪山から下りて来ていた。
「我は精霊神クレブス、この世界を終わらせるモノだ」
「そのまがまがしいオーラは精霊樹と同じものね。あなたが精霊樹の親玉だったのね」
「そうだ。お前たちが我の魔力の吸収を邪魔するから復活が遅くなったのだ。本来の力がなくてもお前などおれの相手ではない」
ファルコンの体を借りたクレブスは白銀狐にゆっくりと近づいた。
「絶対零度」
白銀狐は白い霧状の息をクレブスに放った。クレブスは一瞬で凍り付いた。
「無駄だ」
クレブスが体に力を入れるとすぐに凍り付いた体の氷が溶けてしまった。
「その体を我のモノにしてやろう」
クレブスは地面を蹴ってジャンプして、白銀狐の背中に飛び乗った。
「人間の体だと脆弱過ぎる。お前の体と魔力を貰うぞ」
「そんなことはさせないわ」
白銀狐はクレブスを振り落とすために一直線で上空を駆け上り、ジグザク飛行しながら地面に向かって降りて来た。
「無駄だ」
クレブスは白銀狐の体にしがみつくとそのまま白銀狐の体の中に入って行った。
「この体は貰ったぞ」
白銀狐は急降下をやめて空中で止まった。
「悪くない体だ。でも、まだまだ魔力が足りない」
白銀狐はクレブスに取り込まれてしまった。
「もう、来たようだな」
「お前が精霊神か!」
「そうだ!我がこの世界を終わらせる精霊神クレブス。本来の力にはほど遠いが、我を脅かす存在が現れてしまったようだな」
「僕がお前を終わらせてやる」
「だまれ!」
クレブスが白銀狐の大きな羽根をバタつかせると、凄まじい突風吹き荒れる。ヴォルフロードは地面にしがみつくように重心を低くして突風に耐え忍んだが、プリンツは吹き飛ばされてしまう。
「プリンツちゃん!」
私はリードをあえて手放した。リードでプリンツの首を絞めつけるのを防ぐためである。それに、いまのプリンツならこの程度の突風でダメージを負わないと私は判断した。
「お前が精霊樹を破壊した犯人だな!」
「そうよ!」
「我にはわかる。お前は我で、我はお前だ!」
「何を言っているのよ!あなたは悪い魔獣ね!私が退治してあげるわ」
「それは不可能だ」
「やってみないとわからないわ」
私は少し助走をしてクレブスに向かってジャンプした。
「えい!」
私はクレブスの頭上まで飛び上がると、そのまま落下してクレブスの脳天にチョップを叩きこむ!しかし、私のチョップはクレブスの体をすり抜けてしまった。
「あれれれ?」
「だから無駄だと言ったのだ。我はお前なのだ」
「意味がわからないわよ。もう一度チョップをするわ」
私は何度もクレブスに攻撃をするが、すべてクレブスの体をすり抜けてダメージを与えることができない。
「無駄だと言っただろ」
「どうして私の攻撃が当たらないの」
「ハツキさん、ここは私に任せてください。私は精霊神を倒すのが本当の役割なのです」
「お前は黙ってこの世界が崩壊する様を見ているのだ!」
クレブスは上空から急降下してヴォルフロードに突進をする。ヴォルフロードは全身の無敵の毛を逆立たせてクレブスの突進を防ごうとした。
「その体我がもらった」
クレブスがヴォルフロードの体に突進すると同時にクレブスの体が無敵の毛の串刺しになる。しかし、串刺しにされた体はスライム状に変化して、ヴォルフロードの全身にまとわりついた。
「無敵の毛が邪魔をしてコイツの体に潜入できないぞ」
「俺の体をのっとるのは無理だ!俺たちの無敵の毛はお前の侵入を防ぐためにできているのだ」
ヴォルフロードは全身を大きく揺さぶってスライムを振り払おうとするが、スライムはみるみるうちに増殖してヴォルフロードの全身を覆いつくした。
「いくら無敵の毛でおおわれているお前でも、死んでしまえばただの屍だ。死んだ後にお前の体を頂くぜ」
全身を覆われたヴォルフロードは呼吸が出来なくなり地面に触れ伏してしまった。
「もう時間の問題だ。おれはお前を取り込んだ後、この世界を崩壊させてやる」
「やめろ!僕が相手をしてやる」
吹き飛ばされたプリンツが戻ってきた!
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