スキスキしりとり 【たぶん実用的】

「ねぇ、私達なんでこんなことになっちゃったかな? 昔はあんなに仲良かったのに……」


「付き合って、長いこと同棲して、お互いに距離が近くなりすぎたのかもな」


「あのさ、別れる前に……お互いの好きなところをしりとりで言い合おうよ? 負けた方がこの家を出てくってことで」


「相変わらず、変なこと言うなぁ。

 でも、まぁいいよ。最後くらい楽しい思い出にしよう。でも、負けねーからな」


 ◇◇◇


「き……『キスが上手』」


「はっ? しょっぱなからそれ?

 しかも、自分で言い出しといて、何で照れてるんだよ。 それとも久しぶりにキスして欲しいの?

『意地っ張りだけど甘えたが』」


 ちゅっ


「なっ、何でキスするの?

 これは別れるためのしりとりなんだから。 今更されても、嬉しくないもん……。

『リア充で友達多』」


「えっ、それが好きなとこ?

 いつも俺が友達と遊びに行くとき不機嫌だったじゃん? 嘘はなしだぞ?

『嫌がる割には嬉しそ』」


「からかわないで。そんなことない……。社交的なの羨ましかったよ。私とは正反対。

『嘘は絶対につかな』」


「ちょ、やっぱり矛盾してきてるけど。今まで何度も俺の浮気疑って、嘘つき呼ばわりしてたよな?

『嫌味を言う程に愛情深』 」


「だって……浮気しないのはわかってるけど、周りに狙ってる女の子が多すぎて心配だったんだもん。モテててた自覚なんて全くないでしょ? いつも鈍感だから!

 でもごめんね。嫉妬深すぎて気持ちが冷めたんだよね……。でも、わたしは

『嫌な女になっちゃう位にぜーんぶ好』」


「んー、まぁ束縛もヤキモチも面倒ではあるけど、嫌いじゃないよ? 気持ちがすげー分かりやすいし。遠回しなのは正直わからん!

 ふ~ん、そんなに俺のこと好きなんだ~?

 ははっ。じゃあ俺は……

『嫌いになれる訳ないだろ。俺も全部好』」


「えっ、 ほんとうに?

 今まで……好きなんて全然言ってくれたことなかったのに。いつも私ばっかで……。

『期待させないで? 別れたくなくなるじゃ』! 」


「はい、『ん』がついたな。俺の勝ちっ!」

「あっ、えっ……でも私……」




「俺達やりなおそ?

 っていうか、結婚しよっ?

 家族になれば、そんなに不安になることもないだろ? 友達からの誘いも断りやすくなるから」


「えっ、嘘。だって……」


「ここから引っ越して、新しい家に2人で住もう? いつ子どもができても大丈夫なところ。子ども欲しかったんだろ? だから、結婚焦ってたのも知ってた。

 なかなか踏ん切りつかなくてごめんな」


「……嘘みたい。嬉しい。

 へへへっ、大好きだよっ! 」


「知ってる。

 また喧嘩したらしりとりしよっか?

 これからもずっと一緒にいるんだから」



【しりとりは彼女のベタぼれ負け。

 結果的に色々引き分け】

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