ルシウス様が大好き同盟
とはいえ、ユキレラはヤり捨てなどはしない。
ど田舎村出身のユキレラはどんなものでも、基本は大事に長持ちさせるよう、日々メンテナンスしながら使うのだ。
人間様ならなおのこと。
ルシウス目当てでユキレラを代用品として求めてきた男たちは、元はほとんどが学生時代、ルシウスの校内ファンクラブの会員だった者だそう。
「わかってた。私如きが、あの魔王様を抱けるだなんて夢を見れただけ幸せだったんだ……」
「ははは。あの人、魔王なんてあだ名だったんです?」
見た目だけなら、天の使いというほうがピッタリな気もするけれど。
「そうだ。我ら学園生の上に燦然と輝いて君臨するあのお姿、今も脳裏に焼き付いている。かと思えば、いとけない仔犬や仔猫に慈悲を与えるようなお優しいところもあって……」
「仔フェンリルとかでしょ?」
王都の学園の美人な学園長さんが言ってたっけ。
「そうだ! 決して人には懐かぬはずのフェンリルの幼生体が、あの方の手にかかるとまるで小型犬の如く!」
結局のところユキレラも男たちも『リースト子爵ルシウス様過激派』の旗の下に集う、ルシウス様大好き同盟の同志。
ちなみに今回、ユキレラを誘ってきた銀髪の彼は学生時代の
宰相を輩出する侯爵家の令息で、彼の祖父も父も兄も、やはりリースト伯爵家の人々の大ファンなのだそう。
「ははは。すいませんねえ、顔だけ同じの庶民如きが、侯爵令息様のお初を食っちまいまして」
「……べ、別に、そういうことは気にしないが……できたら、また会ってもらえると嬉しい」
「ルシウス様には会わせませんよ?」
「……茶会で偶然顔を合わせたときぐらいは、会話しても良いのだろう?」
「まあ、それぐらいはね」
そんなわけで、ユキレラは王都で何人ものセフレができた。
全員、男ばっかり。
それでルシウスに報われぬ劣情を抱きつつ傷の舐め合いをしている感じだった。
(ど田舎村をおん出てきたときは、まさかこんな生活することになっとは思わながったなあ……)
おちんぎんも良いし、ご主人様は素敵な理想の上司だし、衣食住も保障されている。
セフレも皆、可愛い人ばっかりだし、ご主人様という共通の話題があるので、自分の知らなかったルシウスの話を聞けるのが楽しい。
ただ、本命だけが手に入らない。
ルシウスの実家、リースト伯爵家はユキレラを一族に迎え入れるとき、ユキレラの経歴をとことん調べ上げている。
そう、ど田舎村にいたとき、誰とどんな付き合いしていたかまで、きっちりと。
それで、実務の指導員になってくれた執事長から、しっかり釘を刺されていた。
『良いですか、ユキレラ。ないとは思いますが、ルシウス様への手出しだけは許しません。それが許されるのは、あの方から求められたときだけです』
この執事長もまた、リースト一族の出身で、ユキレラからしたら『生き別れの
もうこの一族、ほんとそっくりさんばっかり!
ユキレラの王都暮らし生活はそんな感じで、ちょっとだけ複雑なのだった。
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