第5話 夫を尾行する、そして知る
ありがとうございます!ありがとうございます!ありがとうございます!ありがとうございます!
私の眼前には愚かにも私のモノを求めてきた愚民達がいる。
「はぁー、そんなにコレ欲しい?だったらあげるよ」
私がそう言ってモノを愚民達に投げ入れるとそれに群がり奪い合う。
「ふふふふふふ」
あぁ、なんて面白いのだろう。私は夜の王、選ばれし者。いや、今は違うわね。今の私はそう。
「選ばれし一柱ね」
今日の夜は永い、きっといつまでもそう。
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伊藤さんと別れた後に自宅へ戻り気合を入れる。
さて、仕事をしますか。と言ってもまず準備が大切だ、とりあえず情報整理。
家族構成は夫、妻そして息子の3人家族。
夫は銀行職員で妻は産業主婦、それで息子は私立の小学校に通っているか。
「うーん、成功してんな」
これは普通に羨ましいレベルで良いな。
それで気になったのは次に聞いたのでその内容は帰ってくると酒臭い。
「ふむ」
普通だな、そりゃあ浮気してんだもんと思いキャバクラか?と思ったがそれにしては金が出て行かなすぎる。仮にキャバ嬢に入れ込んで毎日通っているとしたらもっと減るのが普通じゃないか?
だとすると何で大幅に減っていないんだ?
「うーん、謎だ」
今の発言は探偵としてどうかと思うがしょうがないと思う。だって謎だもん。
とりあえずここまで考えておいて何も出てこないあたり俺は二代目オーディン失格だな。
そこまで考えて、ある妙案を思いつく。
「よし、俺も行ってみるか」
虎穴に入らずんば虎子を得ずってやつだ、少しリスクがあるが行くしかない。
「そうと決まれば行くか」
そう言って俺は歓楽街へと足を向けた。
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しかしだ、だからと言ってそう易々見つかるものではない。結局俺は見つからずそこらへんのBARに入って酒を飲む事にした。
「はぁ〜」
「どうしたんだいお客さん」
「いや〜、ちょっと仕事でね」
そう言うとマスターは哀れんだ顔をしてツマミを軽く出してくれた、ま、マスター!
しっかしまったく見つからん、これどうしよう。俺が依頼人にどう言い訳をしたものかと考えていると横から気になる話が聞こえてきた。
「ねぇ、これから"あの店"行かない?」
「いいねぇ、今夜はこのままぶっ飛ぼう」
ここまでならただ麻薬をやっているヤベー奴なのだが。
「本当にあそこの店は最高だよなぁ、まじで他の事とかどうでも良くなる。この間も堅物のオッサン落ちてたぜw」
「まじぃw?あいつ上司に連れて来られても断ってたのに?やっぱり耐えらんなぇよなぁ」
「しかもよあの"伊藤"とか言うやつが味わう前に『すまない、華』とか言って泣いてたんだぜw」
「なにそれウケるw」
俺はそれを聞いて分かった事がいくつかある、1つは例の"あの店"ってのが深く関わっている事。2つ、伊藤さんは最後まで抵抗した末にああなった事。そして、3つ目。
「お前らはきっと前からそうなんだろうな」
「「はっ?」」
「【ニイド】」
俺がそう言うと2人組は突如として気絶した。
「安心しろ、少し生命力を削らせてもらったがすぐ回復する」
そして俺はもう一度2人に対してルーン魔術を唱える。
「【ケン】」
俺が唱えるとその2人の記憶からある程度の事は把握した。成る程、これは一筋縄では行かなそうだ。
「まさか同じ後継者とはな」
まさかの元凶は俺と同じやつとはな。しかしコイツと一緒にしてもらいたくはない。
俺はそう考えてからマスターに代金を支払い、一度家に帰宅した。
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