1日の恋
ナカムラ
1日の恋
日雇い派遣で働く、鈴木 洋子(すずき ようこ)。
疲れた足どりで、今日の仕事場に向かっていた。
今日の仕事場は、食品工場だ。何回かは、行ったことがあるが、その食品工場は、大きいため、毎回、仕事場とやる仕事が違う。
食品工場の仕事は、仕事するまでも、一苦労だ。頭に、2枚帽子を重ねて被って、上下の作業着も2枚ずつ、着て、ビニールのエプロンをして、ビニールの手袋をして、マスクをして、長靴を履く。
洋子は、仕事場に急いだ。
仕事場には、指導係が待っていた。
彼は、早速、仕事の説明を作業する工程を皆に、説明した。
「私は、担当の青木(あおき)です。今日は、グラタンの上に粉チーズをかける仕事をしてもらう」
洋子は、指示された場所で、ベルトコンベアから、次から次へくるグラタンに金網のついた、ふるいで、粉チーズをかけた。一生懸命、集中して行った。
すると、洋子は、見覚えのあるリーダーにふくらはぎを蹴られた。
「お前、遅いから後ろ行って、ベルトコンベア拭くの後ろのヤツと代わってやれ!」
洋子は、悔しかった。蹴られたからでは、ない。
任された仕事を変えられたからだ。
洋子は、負けず嫌いだった。
その時、青木が、洋子に声を掛けた。
「大丈夫?」
洋子は、内心、思った。
ーや、優しいー
工場では、後片付けも力のいる仕事だ。
重い機材を分解し、ピンクの液体につける。
恐らく、消毒液だろう。
やっと、仕事を終えると疲労困憊になった。
明日も仕事だ。ピッキング(商品をリスト通り取り出す)の現場、また、力仕事が待っている。
そんなことを、洋子が思っていると、青木から、声を掛けられた。
「お疲れ!!」
マスクと帽子で、目しか見えなかったが、目だけで、優しさが、伝わってきた。
洋子は、思った。
ー惚れたー
完
1日の恋 ナカムラ @nakamuramitsue
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