付き合いましょう 10話 微減【中3 冬】

 萌え罰のスクワットを一日一回の30日かけてやり切ると言い出したイチゴは檸檬に尻を叩かれながら「今すぐに全てやりなさい」と言われてしまい。あとに回すつもりであった運動を自らの冗談でタイミングを早めてしまうことになる。そんなイチゴは一度汗をシャワーで流し終えた後なのでゆっくりとしたペースで運動をしながら先程の会話の続きを始めました。


 高校生になると現実味が出てくるのが男女交際であり。中学生までに交際を始めていたカップルでも心身の健全化のためにしていなかった行為が「いよいよ」解禁されてしまうカップルが現れる。それがイチゴも関心がある「性行為」でした。イチゴは褒められない趣味としてアダルトな二次元の世界を探求してしまう中学生であり、しかし人並み以上に性行為に対しての好奇心はある。そこで「ぽっちゃり体型」を抜きにしても、自分が太らずに美少女のままでいてモテたとしても、それを利用して異性を誘惑して「初体験」をしてしまおうとする背伸びは考えない自制する真面目な考え方をもつ中学生でもあった。しかし高校生になってからはイチゴは出遅れている一人になる可能性は大いにあり、それこそ周りから「すごかったよ」と感想を聞いてしまうと「さらに」好奇心が増してしまい。イチゴ経由でそれが檸檬まで横流しになってしまう可能性が来年度からはあるのでした。


 イチゴも檸檬も冗談で性交渉や妊娠などを題材にしていましたが、学生という若さが制約となり経済的や心身の健全化に問題がある行為はリスクが高すぎるとは重々理解しているつもり。例え愛があっても許されない行為というものがあり「今必要なのか」と自問自答をして正しい選択ができるくらいの判断力はあってしかるべき。


 二次元の世界だからこそできることがあり。実際にしてしまえば過ちにもなりえてしまう。それこそ妄想の中ではイチゴは男役にされていましたが、そのイチゴも現実は「受け入れる側」であるので、妊娠をしてしまうのは自分だと考えると高校生となっても早すぎる決断はできないことでもありました。


「初体験かぁ。相手がいれば高校在学中に触りっこくらいなら、してみるのもアリかも? 純潔さえ守れば大丈夫! なんてね」


「純潔以外は奪うつもりなんですね。不潔です。でも愛があるのなら検討をしましょう」


「リアルで在学中に種付けを決めるとか、リスクが高すぎて恐ろしい。エロゲの主人公様もすごいことしているのう」


「安心してください。先輩との結婚に向けて中学生時代から両家の家族には、私から根回しをしているので在学中のデキ婚でも歓迎してくれます」


「はいはい、ありがたや、ありがたや」


「クスッ、先輩も安心した表情になっていますよ。私の両親が孫を早くと急かしてごめんなさい。先輩はプレッシャーに負けずに頑張ってくれましたよ。でも、これでようやく私も安心できました♡」


「もはや生やしてもいいから、せめて避妊だけはさせてください・・・ゴムに穴まで空いている説。病んでいるよこの娘」


イチゴと檸檬の関係だからこそ言い合える中学生女子としては下品な妄想話もこれからは登場してゆくのだろう。それを実際に檸檬が恋人を作ったときに望むとはイチゴも思いませんでしたが、後輩の理想を歪めつつあるのではないかとイチゴも「ストップ」をかけるタイミングを失ったのは失敗したと反省をしていました。しかしイチゴが「厳しく」ではないにしても忠告をして、そこから修正をしないのは檸檬の責任であるので、イチゴは全てを背負うことはせずに未来の檸檬の旦那様に任せることにしていました。そんなわけで檸檬は日に日に進化してゆく知識を妄想の中での未来の旦那様という設定のイチゴに披露してしまうのでした。


「先輩・・・これ以上だされたら・・・赤ちゃんできちゃいます・・・やだやだ・・・赤ちゃんできちゃうよぅ♡ と言いながらも、しっかりと脚でホールドをしながら一滴残らず愛の結晶を受け止めようとする。そんな快楽に負けてしまう幼馴染な後輩を見たくないのですか?」


「エロゲで見たよ! たしかにリアルでも見たい・・・それが可愛い本当の恋人であればね! しかし子育てが忙しくて幼妻を奪われてしまうのはパパも寂しいでちゅ」


「胎教代わりにママの声を沢山聞かせていたので、夜泣きもなく静かに寝てくれるから、安心して二人目も仕込んでくださいね♡」


「どうなっているのワタシの性欲は・・・嫁を無理させるのは本意ではないよ。そもそもリアルではワタシが無理させられるまであるからね!」


「うーん、先輩は意外と奥手なのでしょうか? 将来的には大学中にセックスレス?」


「極端だよ!? もっとノーマルな妄想はないの?」


スケベトークが日に日に具体的かつ過激な妄想となっていたのは檸檬がイチゴから独断で入手してしまった知識によるためのものであり。自分が早くも18禁アイテムに手を染めていたことに対しては自己責任で、それを親にバレて叱られたら兄と一緒に道連れを受け入れるだけ。しかしそこに檸檬まで参加してしまったのは「管理不足」という責任をイチゴも痛感している。そうなるといっそ開き直って檸檬までどっぷりこちらに染めてしまえないのがイチゴの真面目な姉心であり、家族に隠し切れるから火遊びも大丈夫だろうとできない弱さでもあるのかもしれない。そうしてイチゴが「ビシッと」断ち切れないことで、檸檬は徐々に怪しげな遊びへと身を投じてしまう道に入りかけていたのでした。


「妄想をしてもいいのですか?」


「この際なんでも聞くよ」


「先輩も楽しんでいるくせに」


「否定はしません」


退屈であったり、不快とするならイチゴも付き合いはしない。それがわかる間柄でもあるので檸檬は会話を弾ませている。さらに秘密にしていましたが檸檬はこのままイチゴと談笑をして夜更けまで過ごしてしまい、流れでイチゴを外泊させようと計画をしていたのでした。素直に寂しいから泊まって欲しいとは照れくさくて言いづらくて、回り道をしながらでもイチゴとの中学生最後の青春を満喫しようとしている。つまり檸檬は明日からの一年間は一人きりでの部活動習慣となってしまうのかもしれない。その寂しい気持ちを振り払い、元気付けてもらうために檸檬はイチゴとの時間が「まだ必要」となっていて甘えたくなっていたのでした。そうしてイチゴもそれに感づいているので、こうして二人での時間を大切に確保してくれたのでした。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




 スケベトークは不健全でしたが早ければ10年もしない内に訪れる可能性がある話題に関しては二人も「我が身」であるために関心はある。これまでの健全な情操教育から得た知識と女の子の日という気怠いサイクルからも、他人事ではなく「確実にその日が近づきつつある」のは身体の成長が教えてくれている。それがいつになるのかは未知数ながら、パートナーを得られた先にある「新しい家族」に対する未来の話は不健全な内容にはならないと、二人はそれぞれの価値観を伝え合って刺激をもらおうとしていました。


 別の視点というのは己の価値観をよりよきものにする刺激にもなりますし、また逆に悪影響となる場合もありましたがイチゴも檸檬も自分の身体や人生までも波乱を望むような選択をしてしまう。そんな価値観を植え付ける愚策をする少女ではありませんでした。そのため妄想話をした後には真面目に赤子を身籠る話をしてくれて、檸檬は将来的に娘をまず出産してから第二子は弟を希望しているのをイチゴに伝えました。その後は先々すぎて考えられずに、長女を望む理由は「自分の家族構成が一番想定がしやすく」弟の面倒を見てくれる姉という我が身の経験を将来の子供たちに期待した理想でありました。


 こうした理想は強く願う夢でもなく「そうなると素敵だな」程度の希望的観測でありました。なにしろ二人はまだ中学生と来年度からようやく高校生。さらに言えば異性交遊をするためには二人には乗り越えるべき試練が、まだ山ほどありました。まずはそこを攻略せずして交際どころか、告白をするだけの勇気やアプローチされる機会すら失われる。そうなると真っ先に必要なのが「見た目」の印象が変わることにより、自信をつけることから始まる。その足がかりのダイエットが、なによりもモテ女子には必要なことでありました。ただしぽっちゃりだからとて未来を夢見ることが悪とまではならないと、イチゴも妊婦さんを想像しながら自分の未来の姿に当てはめて妄想をしてみました。


「ワタシも・・・うわっ、ワタシが妊娠するの? なんか照れくさいな。しかし、この身体にもう一つの生命が宿るスペースがあるのが不思議だよ。今の太った感覚と似たようなものなのかな?」


「相手もいないのに恥じてどうするのですか・・・」


「ワタシにも妄想くらいはさせなさい!」


「先輩の子供は娘と弟は確定です。ちなみに産むのは私ですけど。先輩がどうしてもというのなら、譲りますが」


「まだ続けるの? そろそろお腹いっぱいだよ?」


「ダイエットゼリーの食べすぎです」


「それはお前様だけどな!」


卒業式が終わり在校生である檸檬が遅れてイチゴを自宅に招いて談笑を始めた時間も夕刻となり。そうなると檸檬は夕飯を待ちきれずに間食をしていました。しかしこの日はイチゴの監視があるので罪悪感がないカロリーオフの食料で飢えを凌いでいる。そうして檸檬は見せつけるようにゼリーを唇で器用に挟んだままプルプルと震わせて、友人同士ならば幼稚で下品な遊び。正式な恋人同士ならば誘惑をしているような悪ふざけをしてしまい、それに対してイチゴが「唇ごと奪ってやろうか」と問いかけたら、急いで檸檬はゼリーを平らげてから「ハレンチ」ですと、また妄想を語りだすのかと思えば「私のゼリーはあげません」と食事への執着を強く見せてくれました。そこはブレないなとイチゴも苦笑いをしていると、再び檸檬が妄想を語り出してくれる。こうしてイチゴは着々とお泊まりに向けての準備が整っていました。

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――

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「先輩は同期も歳上も落とせなくて風俗通いでこじらせた挙句に、最後には少年を身体で誘惑して手籠にしそうですよね。私の息子に近づかないで下さい」


「夫婦にされたり変質者にされたり、忙しないな。ふーむ、少年か・・・姉ショタとか最高だろう。子供の無知をいいことに初めてのピュッピュッを手伝ってあげて、またお姉さんが気持ちいいことを教えてあげるからね♡ といろいろ管理してあげたい」


「うわぁ・・・犯罪者は弟に近づかないでください」


「少し本音を混じえた冗談を言ったらコレだよ」


 檸檬が冗談を言えばイチゴがツッコミ役を担当するのが性格と年齢を考慮した習慣である。しかし今回は気分を変えて逆転をしてみたら、さらに痛いしっぺがえしをされてしまう始末。それもこれも小悪魔な後輩を甘やかした結果だと、イチゴはイジられ役をこの先も勤めるのだろうと予見していた。ただしいつまで経っても子供じみた遊びで満足しているはずもないので、大人になるまでというタイムリミットはなんとなしに考えてもいる。しばし先の未来では二人揃ってダイエットが終わり、念願の恋人を得た暁には「カレシとの交際話」を相談したりと、悪ふざけで楽しく過ごしていた時間も変わってゆくのだろう。それを寂しいとは思いませんが、もうしばらくは「このままでいたい」という変化を望まない気持ちもあったりと、思春期の少女の二人は恋愛を目的にダイエットを始めてはいましたが、本命の「友情」をついつい優先させてしまうのでした。


「先輩の将来はブタ箱行きです。面会しに行くのは私くらいですかね? 献身的な後輩を持って幸せですね。差し入れは林檎がいいですか? 蜜柑にしますか?」


「リアル養豚場かよ! 全国の養豚農家さんに失礼だから謝りなさい!」


「ブヒー!!」


「このメスブタめ! 鳴き声もなってないよ!」


「いたいん!?」


中学生男子が幼いと嘆く女生徒もいれば、影ではこうしてバカをやっている百合カップルもいる。まったくもって幼いのか大人なのか理解に苦しむごちゃごちゃした会話をしながら、二人は楽しそうに笑い合っていたのでした。そうして豚の真似事をして四つん這いになって這う檸檬の尻をイチゴが叩いて遊んでいるという不思議な光景が繰り広げられてしまい、そのまま優しく撫でたと思えばペシッと叩いてみたりと緩急をつけて遊び出してしまう。いったいこれはどういった遊びなのかとルールはそもそもないのがバカ騒ぎでもあるので、気の向くまま適当に二人は養豚農家ごっこを続けていたのでした。


「お尻に肉があって助かったと思いなさい」


「A5でしたか?」


「誰がお前を出荷させるか!」


「そんなに愛情を注いでしまったのですね」


「よし、ワタシが食べてやろう。あむっ」


「ひやんっ、先輩のえっち!」


「ばっか! 変な声をあげるなよ。家族に勘違いされたら自殺ものよ」


小学生までなら許されていても中学生になったら社会の一員としての自覚を促されて、騒がしい娘を叱るために部屋を訪問する母親がいても不思議ではない。そんな母親が見た光景は娘の尻に甘噛みをする幼馴染がいましたなんて、どのように疑われたとしても絶望が待っていることは約束されている。だからこそこうして二人の部屋だけでこっそりと戯れをしていて、幼馴染以外の家族に知られたら辱めとなる行動は「今のところ」はバレてはいないと当人たちは信じきっていました。


「エロゲがバレても耐えたのですから先輩なら大丈夫です」


「檸檬に迷惑はかけたくないでしょう。それに家族から不健全な友人と思われたら嫌じゃん」


仮に「ごっこ遊び」を含めて家族に擬似恋愛をしているのがバレてしまえば、主にイチゴの兄から茶化された挙句に、恋人がいるのだからエロゲはもう買ってあげないと言われてしまう結末が見えている。それだけはなんとしてもイチゴは18歳になるまでは回避しなくてはならない。その上でイチゴは檸檬にもあらぬ誤解から家族を心配させたくないと本心から思っていたので、その点ではこのまま遊びで檸檬と「恋人ごっこ」を継続さてしまい恋愛観を歪めてしまわないかと不安も感じていました。つまりイチゴは恋に恋する檸檬の協力者にはなるのでしたが「女の子を好きになってしまう」道に導くような知識を与えてばかりいるのは檸檬の家族に顔向け出来なくなってしまうので、趣味で集め出した百合モノの創作物に関しては檸檬にあまり見せたくはないと考える姉的立場を維持してもいました。


「そうやってまた先輩は後輩を落とそうとする。もうこれ以上は落ちられないので冗談ならよしてください。本気なら指輪で答えてほしいです。プロポーズは夜の海風を感じながらがオススメですね。もちろん指輪は受け取りますよ? 値段はいくらになるのかな〜♪」


「コイツ、換金して肉を食うつもりだぞ!? 焼肉か・・・いや、その手振りはしゃぶしゃぶか!?」


「しゃぶしゃぶとすき焼きと焼肉をハシゴしましょう」


「もはや指輪よりも肉を食わせた方が幸せだと思いました。ふふっ」


「うわっ、今、先輩は失礼なことを考えましたね」


「需要があるだけマシだよ」


「それってなんの需要ですか・・・」


「はてさて」


檸檬はイチゴの姉御肌発言に萌え罰をしながらも、手先は期待した手つきで肉を調理していました。実際問題、高級な料理は檸檬も好奇心はあり、甲斐性を見せつける目的で殿方から誘われたら檸檬は「ホイホイ」となってしまうのやもしれない。しかしその場の空気に緊張して味わうことができないままデートは終わり。その印象が檸檬は強く残ってしまい殿方のアプローチを断ってしまうという残念な結果もありそうで、そこに現れたのが庶民派な男友達だとしたら。


 いつものノリで「庶民派バンザイの」正装不要、細やかなルールはなしの焼肉店に連れられて、夢中になるあまり可愛さアピールも忘れて爆喰いした挙句に「またやっちまった」と檸檬が反省をしていたら。「美味しそうに沢山食べる君が好きだよ」と、実は檸檬を狙っているのを自然体な会話の流れで伝えられてしまえば、檸檬は「淑女を演じなくていい相手」に簡単に靡いてしまうのかもしれない。イチゴがそんなありそうな未来を想像して鼻で笑ったところで話は一区切りとなり。そんなこんなで檸檬の「遠回しが必要でない」引き止め作戦はこの後も続くことになるのでした。

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