ペロシ訪台で「男を上げた」中国

@MasatoHiraguri

第1話 吉良の仁吉や国定が、喧嘩で男を上げたのが、荒神山や赤城山

吉良の仁吉や国定が、喧嘩で男を上げたのが、荒神山や赤城山・・・。

  「相撲甚句 山」より


  国定忠治は「赤城の山も今宵限り・・・」と、かわいい子分たちと別れ、晩秋の赤城山を去りましたが、彼の男気(おとこぎ)は、日本人の心に後世まで残った。

  勝敗の結果ではない。

  喧嘩・出入り・討論・戦争等々、戦いの中で「男を上げる」「人間としての存在感を高める」。

 「戦いの中で徳を見せる」ことこそ、中国古典「史記」や「三国志」「水滸伝」、そして、「次郎長三国志」をはじめ、日本の任侠・サムライの世界なのです。



  関東大学日本拳法界の雄「明治の木村」は、彼が試合で勝つこと以上に、その戦いの中で見せる彼のガッツ(男気 → 男としての気概・気骨)に、私たち観客にとっての(見る)価値があるといえるのではないでしょうか。

  「勝ち負け」はその場限りですが、その戦いの中で見たガッツこそは、永く人の心に残るものだからです。



  今回(2022年 8月2・3日)台湾で行われた「ペロシ訪台劇」は茶番でしたが、この三文芝居の舞台の外で見せた中国人のガッツ・中国人の男気には、「ガッツリした」存在感がありました。


① 2022年8月2日22:43 アメリカのペロシ下院議長は台北の松山空港に到着。

② 2022年8月3日11:32 人民網日本語版に「米国による中国の主権侵害に、王毅部長が談話発表」が掲載される。


  王毅部長は(8月2日から3日にかけて)徹夜でこの談話を基にした原稿を書き、それをスタッフが即、日本語に翻訳し、ペロシ訪台から12時間後、人民網日本語版に掲載した(らしい)。


  先ず、この対応の速さと、理路整然・熱情噴出の談話それ自体に、「本気で殴り合う」私たち大学日本拳法人は、中国の本気度・ガッツを見る(感じる)ことができます。(ペロシが8月3日に、台湾で誰と何を話したか、なんて問題ではない。8月2日に台湾を訪問した時点で、中国にとって問題発生、ということなのでしょう。)

  「アメリカという権威にどっぷり漬かり」

  その安心感から、緊張感やガッツが一かけらも見られない台湾客家とそのスタッフたちとは大違いです。気合の入り方が違う。



  ペロシは蔡英文総統との会談で

  「世界は民主主義と権威主義の二択を迫られているとしつつ、米国は台湾と世界の民主主義を守っていく」と述べたらしいが、

  自分の頭で考え、自分の意思で行動し、自分で責任を取る(真の民主主義的)覚悟があるのは、完全に中国人の方と言えるのではないか。

○ 本気度がぜんぜん感じられない会談

台湾客家のネット新聞「フォーカス台湾」では、

蔡総統「民主主義の防衛線守る」

ペロシ氏「台湾との結束は極めて重要」と、各々発言したそうです。


  また、同日台北市の立法院(国会)を訪問したペロシは、蔡其昌副院長(国会副議長)に対し、

  台湾を世界で最も自由な社会の一つとし、新型コロナウイルス対策を称賛。台米双方の国会間でのさらなる往来と交流に期待。

  蔡氏は、米国国会が具体的な行動で台湾に対して盤石な支持を示したことに感謝。ペロシ氏については、「世界で最も人権を擁護する国会議長だ」と指摘。気候変動問題に取り組んでいることにも言及し、交流を深めたいと語った。また、ペロシ氏は蔡氏から「台湾の友人だ」と指摘され「大きな称賛だ」と喜んだ。


とあるのですが、

  二人の子供が互いの良い所を賞賛し合って満足するという、まるで幼稚園のお遊戯会・学芸会レベルの「お話し合い」にしか感じられない、のは私だけなのか。



  以下に、人民網日本語版から引用した、中国側・王毅部長の談話と比較してほしい。

  内容はともかくとしても、台湾と中国、それぞれの真剣度・迫力が完全に違うと感じるのではないでしょうか。


<引用はじめ>

○ 米国による中国の主権侵害に王毅部長が談話発表

人民網日本語版 2022年08月03日11:32


  ペロシ米下院議長が中国側の厳正な申し入れを顧みず、公然と中国の台湾地区を訪問した。

  この行為は「一つの中国」原則への重大な違反であり、悪意をもって中国の主権を侵害し、公然と政治的挑発を行うものであり、中国国民の強い憤りと国際社会の一致した反対を招いている。

  これは、米国の一部の政治屋がすでに中米関係の「トラブルメーカー」へと成り下がり、米国がすでに台湾海峡の平和と地域の安定に対する「最大の破壊者」となっていることを改めて証明したと言える。


  米国は、中国統一の大業を妨害する幻想を抱いてはならない。台湾地区は中国の一部だ。国家の完全統一の実現は大勢の赴くところであり、歴史的必然だ。

  我々は「台湾独立」分裂勢力と外部勢力からの干渉にいかなる余地も断じて残さない。米側がいかなる手段で「台湾独立」を支持し、黙認しようとも、結局は徒労に帰するのであり、米国が他国に対し粗暴な内政干渉を行ったというお粗末な記録をさらに多く歴史に残すだけである。

  台湾問題は当時の国家の弱体化と混乱により生じたものであり、今後の民族の復興に従い必ずや終結する。


  米国は、中国の発展と振興を破壊する幻想を抱いてはならない。中国はすでに自らの国情に即した正しい発展の道を見出している。中国共産党の指導の下、中国国民14億人は中国式現代化に向けて大きな歩みを進めている。

  我々は、国家と民族の発展を自らの力の出発点に据え、各国との平和的共存と共同発展を望んでいるが、中国の安定と発展を破壊することは、それがいかなる国であろうとも断じて許さない。

  台湾問題において挑発し、もめ事を引き起こし、中国の発展と強大化を滞らせ、中国の平和的台頭を破壊しようと企てることは、完全に徒労であり、必ずや失敗する運命にある。


  米国は、地政学的なゲームを操作する幻想を抱いてはならない。地域諸国は平和・安定・発展・ウィンウィンを一致して求めている。米国が台湾問題を地域戦略に組み込み、緊張を誇張し、対立を煽ることは、地域の発展の潮流に逆行し、アジア太平洋の人々の期待に反する行動であり、非常に危険で愚かな事と言える。

  「一つの中国」原則はすでに国際関係の基本的準則であり、第二次世界大戦後の国際秩序の一部を成している。米国がなすべきことは、国連憲章の趣旨と原則への違反を直ちに止め、「台湾カード」を切ってアジア太平洋地域をかき乱すのを直ちに止めることだ。


  米国は、恣意的に白黒を逆さまにすることができるという幻想を抱いてはならない。米国は中国が事態をエスカレートさせていると主張するが、米国のほうが先に台湾問題で中国側を挑発し、中国の主権と領土的一体性を公然と侵害したというのが、基本的な事実である。

  米側は議長の台湾地区訪問には前例があると主張するが、過去の過ちを今日も繰り返す口実にしてはならないというのが、基本的な道理である。

  米側は、三権分立のために議会を規制することはできないと主張するが、米国はその国際的義務を履行しなければならず、ましてや重要な政治的人物が勝手な行動をしてはならないというのが、基本的な国際法の原則である。


  さらに米国は、中国が統一を図ることは台湾地区にとって「脅威」だと主張するが、台湾地区は中国の領土の不可分の一部であり、台湾問題は完全に中国の内政であるというのが、基本的な論理である。中国が領土的一体性を守り、国家の分裂に反対するのは合理的かつ合法的であり、筋の通ったものだ。


  私は次の事を強調したい。台湾海峡の平和と安定の鍵は「一つの中国」原則であり、中米の平和的共存の真の「ガードレール」は中米間の3つの共同コミュニケである。

「米国に頼り独立を謀る」のは破滅への道であり、

「台湾を利用して中国を牽制する」のは失敗する運命にある。


  国家の統一という民族の大義を前に、

◎ 中国人には何をも恐れぬ気概があり、

◎ 脅しや圧力に屈せぬ気骨があり、

◎ 一丸となって志によって城を成す決意があるのであり、それ以上に

◎ 国家の主権と民族の尊厳を断固として守る能力があるのだ。(編集NA)

<引用終わり>


2022年8月4日

V.1.1

平栗雅人

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