中学に告白を断った陰キャ眼鏡が銀髪超絶美少女に成って義妹に成った〜僕を惚れさせる為に色々と色仕掛けして来るが、逆効果だと何時気づくのか?〜

ネリムZ

ふった人が妹になった

 父の再婚が決まった。僕は⋯⋯反対だった。

 母さんが他界し、父は塞ぎ込んで居た。

 ただ、それでもまともに働く様になって、嬉しかった。

 だと言うのに再婚だと? また、昔の父に戻るなんてまっぴらごめんだ。


 再婚相手は清楚で性格の良そうな人だった。母さんに雰囲気が近い⋯⋯事も無いな。

 娘が居るらしく、その隣には銀髪の美少女が凛々しく座っていた。

 父がニヤニヤしながら紹介をしている。頬を互いに染めていた。


「僕は反対だ」


「何故だ! 父の幸せを考えてはくれないのか?」


「絶対に嫌だ!」


「頼む! この通りだ!」


 土下座をする父。

 だが、僕はそんな父を見下ろしながら言う。


「無理」


「年頃なのも分かる! 気持ちの整理が付かないのも分かる!」


「分かってないよね? 別に再婚に反対はしない。ただ、戻るのが嫌なんだ」


「約束する! もう、あんな事はしない。今の通り真面目に働く! 信じてくれ!」


「人の信頼は一度落ちたら簡単には戻らないんだよ」


 父の再婚相手の名前は羽織だったような。


「羽織さん。こんな奴でも良いんですか? 僕が小6まで一切働いた事の無い人ですよ?」


「問題ないよ。それを全て含めて、好きに成ったんですから」


 娘の方に向き直り、良いのかと問う。


「問題ありません」


「な? な? 後は天音が認めるだけなんだ! 頼む! 本当に、前のような事には成らないと誓う!」


「私も、この方が道を外れそうになったら、止めます! 娘共々、宜しくお願いします!」


 相手方にも頭を下げられた。

 それでも折れない僕に娘さんも頭を下げる。


「分かりました!」


「ありがとう! 既に家契約しているから、荷造りして引っ越そう!」


「超展開」


 そんな話を挟んで、今に至る。

 部屋でゴロゴロしていると、ドアが開けられる。

 入って来たのは銀髪の美少女、名前は確か、白奈さんである。


「なんですか? 入るならノックはしてください」


 誕生日は僕の方が早く、僕が一応兄となる。


 本から目を離して白奈を見る。

 銀髪に碧眼、ルックス含め全てが良いと呼べるそんな女性。

 街中に出れば注目の的だろうし、美少女と呼ばれる人だろう。


「ねぇ、天音君」


「なんですか?」


「私達、義理の兄妹だけど、私、実は貴方の事が好きなの。付き合ってみない?」


 近づいて来て、白奈さんの細長い指で顎を上げて来る。

 綺麗な声でそう言われ、まず出るのは心臓の鼓動? そんな訳あるか。


「いや、無い。マジ、無い」


「そこまで否定しなくても」


「そもそも僕達は初対面だ。好きになる要素は無い!」


「それ自分の事を下げてるって分かってる? はぁ。私は本当に天音君の事が好きよ。分からない?」


「⋯⋯それは地毛か?」


「ええ地毛」


「中学の時に髪の毛を黒く染めて眼鏡を掛けてポニーテールにしてボッチだった」


「自分で言うのもなんだけど、中学と比べて見た目凄く変わったのに、よく分かったわね」


「ま、一番印象に残っているからな」


「そう。ねぇ、本当にダメなの? 私、自分で言うのもなんだけど、高スペックだと思うんだけど? 付き合って損は無いと思うんだけど?」


 僕達は中学の時、同じクラスで同じ委員会だった。

 そして、卒業式の時に告られ、そして断った。

 もうすぐ高校への入学だと言うのに、親の再婚、そしてその子が義妹って、どんな確率だよ。


「あの時、会った時はびっくりしたよ。あんな顔、見た事無かったもの。と言うか基本無表情だから感情が表に出る事が珍しいけど」


「よくお分かりで。で、何の用だ?」


「言ったでしょ、私は今でも貴方の事が好きなの。だから、付き合って欲しい!」


「義妹相手に恋愛感情は出てこんよ」


「⋯⋯可愛く成っても、ダメなの?」


「見た目なんて関係ないさ」


「中身が悪い?」


「いや、君の中身は、僕が知っている限りでは良い人だな」


「なのになんで、ダメなのよ」


「簡単だ。僕が、君を、好きじゃないからだ」


「⋯⋯ッ! あっそう! 一つ屋根の下で暮らす以上、覚悟してなさい!」


 そう言って出て行く。

 なんだったのやら。

 僕は今、まだ感情の整理が出来てないと言うのに、ようやく嵐が過ぎ去った。

 てか、堂々と人の事を好きって言えるの凄いな。


「今日、行くか」


 家を出てとある廃墟に向かう。

 そこにはホームレスが住み着いている。

 その中で一番の知り合いに金を渡す。

 これは報酬と酒を買って来てもらうためだ。成る可く高価の。


「はいよ」


「いつもありがとうございます」


「こんな簡単な仕事だからな」


 当然、僕が飲む訳では無い。


 墓地へと向かう。

 母の墓である。

 酒瓶の蓋を開ける。

 墓にそれを浴びせる様に零す。


「母さん、僕もう高校生だよ」


 ポトポト瓶から出て行き、濡らして行く。

 母さんは酒が大好きだった。良く言っていた。

「自分の命は天音と酒の為にある!」って。

 ただ、飲み過ぎたせいで早くにこの世を去った。


「父が再婚したよ。飲んだくれのギャンブル中毒者、母さんが結婚したのも不思議な人が今ではまともに働いているよ。勿論、母さんの仕事や遺産の事は黙ってる。また金を使うだけの穀潰しには戻って欲しくないからね」


 酒が無くなり、瓶を置いて手を合わせる。

 父は母さんの所に何回来たのだろうか? もしかしたら来てないかもしれない。

 だけど、関係ない。

 僕が母さんを知っている。それだけで十分だ。


「これが天音君のお母さん?」


「なんで居るんだ白奈さん」


「いずれ私の義母に成るお方なんですから。挨拶は必要でしょ?」


「何真顔で言ってんだ。僕が君を好きに成る事は無いよ。残念だったね諦めて」


「諦めない。隠していた事を全部さらけ出して、持っと自分を磨いて、そして絶対に貴方を堕とす。そして貴方から告白して来て、それを断るの! そして貴方が色々と好感度を上げようと努力し、再び告白する。それを断る! その後に私から告白して見事に恋人同士に成る。これが私のプロセスよ!」


「お前、そんな奴だったか?」


「恋は人を変えるのよ」


「⋯⋯」


 現在僕が白奈さんに対して思っている好感度はゼロに等しいよ。

 そして分かった、この子は自分の世界にのめり込むタイプだ。


「天音君はお義父さんの事が嫌い?」


「ああ」


「じゃあなんで一緒に居るの?」


「それが母さんとの約束だからね」


「約束?」


 僕は白奈さんに向かって指を向ける。


「そこまで踏み込む権利は君には無い」


「⋯⋯ッ!」


 指を掴む白奈。


「そうね。いつか、心を開いた時に、聞かせてね」


「何処からその自信は来るんだよ」


「私の全てから」


「あそ」


「軽っ!」

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