トーキョー転生
Fuyugiku.
ネコ科
オレの幼馴染はネコ科獣人族の木下ナラ。
チャームポイントは出し入れ自在のネコ耳と尻尾、だそうだ。それらを仕舞ったナラを見て、獣族の混血だとは思わない。クラスメイトには獣族の血が濃く、羽のある学級委員長がいれば、夏でもダウンを着ている蛇の血を引き継ぐやつもいるくらいだ。いちいち何の混血なのか、誰も気にしない。
しかし、今、オレの目の前にいるのは未だかつて見たことがない獣人族だった。
「おい、ルイ。何を
耳をピンと立て尻尾をゆらゆら揺れらし、前足を行儀良く揃えて俺の足元から見上げるその姿は猫そのものだった。ネコ科の血が濃いとここまで猫なのか、と感動した。
だけど……
「なんでオレの名前を知っているんですか?」
彼とは、初対面だった。
「それより話せることに驚け」
怪訝そうな、と言うより気味悪がるようにそう言った。
「……? オレ、学校に遅刻しちゃうんで用がなければこれで……」
「ルイ!お前はこれからこのテオ様の力が必ず必要になる。連れて行け」
絡まれては行けないやつに絡まれた。無視してやり過ごそうとすると、スマホから聞き慣れた着信音が鳴った。ナラからだった。
「もしもし。ナラ?」
「
黙れという男の声と、バタンと車のドアを閉める音、同時に通話が切れた。ツーツーという無機質な音を聞きながら、心臓がバクバクと加速し始めた。
ナラが、
「早速、テオ様の出番というわけだ」
振り返ると、テオは顔を洗っていた。
「……幼馴染が拐われたかもしれない」
俺は初対面の怪しいやつにも関わらず、思わず助けを乞うかのように呟いた。
「場所の心当たりは?」
「自動車で移動しているはず……でも切れる前、電話越しで学校のチャイムが聞こえた」
8時のチャイムだ。
「ふん。分かった。野良たちから情報を得よう」
そう言って、テオはサッと民家の塀に登り駆けて行った。
ピロンとスマホが鳴り、ナラの番号からショートメールが入った。
「警察に言えば、女の命はない」
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