兄さん。私、サキュバスになりました。

伊勢介朱史

(第1話)禁断の扉

 僕は、この扉を開けて、義妹の部屋に入らないといけない。


 なのに、僕は、緊張だとか、いろんな感情が頭の中でない交ぜになってぐちゃぐちゃで、1時間くらいずっと、義妹の部屋の扉の前で立ちすくんでいる。






 僕が今夜、やらなくてはならないことは分かっている。




 まず、扉を開け、義妹の部屋の中に入る。

 そして、僕は、義妹とセックスする。






 母さんによれば、義妹も、僕と結ばれることを望んでいるらしい。

 今夜、これから義妹とするセックスは、両親も公認の行為。






 ずっと、実の妹だと思っていた美咲は、父さんと母さんの養女で、美咲は、僕の義妹であること。


 実妹はないので、美咲とは戸籍上も婚姻が可能で、これからは、美咲とは、婚約者として、結婚を前提としたお付き合いをしてほしいこと。


 美咲は、「サキュバス」と呼ばれる存在であること。


 サキュバスは、16歳になって初めて迎える夏至の日の夜に「覚醒」すること。

 覚醒後のサキュバスは、毎日、セックスしてなくてはならないこと。

 そして、セックスの時に相手から発生する「生命エネルギー」を摂取しなければ、消滅してしまう、つまり、死んでしまうこと(必要なのは、あくまで「生命エネルギー」という霊的なものであり、「精液」という物質的なものではないので、セックスの際はゴムで避妊しても大丈夫(というか、絶対、避妊しろ)とのこと。)。


 今年の夏至の日、初めて義妹を抱いて、その日以降、義妹が死なないように、毎日、義妹と性行為をしてほしいこと。


 そういったことは、1週間前、父さんから告げられた。





 美咲は、今、16歳で、今日は、夏至の日、時刻は、夜の9時くらい。




 緊張と、これから義妹とセックスするのだという期待や欲望とかで、僕の身体は、燃えるように熱くなっていた。



 熱い、とてつもなく、僕の身体が。本当に燃えてしまうんじゃないかというくらい熱くなっている、特に下半身が。




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