第22話 dream : 夢のまた夢のように
「は‥‥マジ?」
「うん‥‥こいつ何なん‥‥マジで」
『どうしたんです‥‥?』
ちょっと引かれるような二人の視線がこちらを向いている。
「いや~分からんよ、何かの間違い?」
「でも3回もやったよ、魔導具と詠唱有り
で。しかもクソ初級の」
「ンまぁ一応やっとこう、うん」
ラインク君はそう言うとまたリグフト君のさっきの石を持たせてきた。
「ミナト〝吹き動け、其の風よ〟だ」
『ハイ‥‥吹き動け、其の風よ‥‥』
……………………
「おぉおぉ‥‥マジ?」
「いや‥‥笑い事じゃねぇかも‥‥」
そう言うリグフト君の口角は引きつった様にピクピクと上がっている。
「あ、あのさ‥‥ヘンな事聞くけど、お前、
小学校は‥‥?」
『卒業してますよ!? なんならもうじき
中学卒業ですから!!』
「なぁリグフト‥‥これ触れていいやつか?」
「知らんけど‥‥聞き出さないとどうしよう
もねぇから‥‥」
『というか、僕はこの世界に来て数日なんで
す‥‥急に魔法が何だとか言われても‥‥。』
「ったく‥‥お前また‥‥!」
「いや、待てよリグフト‥‥」
ラインク君が真剣な形相で話を遮る。
「あのさ、冗談だと思うかもしんないけど
俺さ、今朝ヘンな夢を見たんだわ‥‥」
そう言って彼は淡々と語り始めた。
ーー
ーーーー
ーーーーーーーー
「ん‥‥? ここは?」
真っ白な景色、ボヤつく意識。
「誰だ‥‥あれ?」
少し先に、麗しい白い髪をした誰か。
「あら、お目覚めでしょうかね。」
「あ、あなた誰です?」
「私はそう、一人の少年の行方を見守って
いる者です。まるで、この世の者と思えぬ
ような、一人の少年を‥‥」
「なっ‥‥! それってミナト君‥‥?」
何故かと直感に突き刺さる様にあの人の言葉
の意味が理解出来ているように思える。
と、同時にすぅと意識が
「なぁっちょっと!? もう少し詳し‥‥」
ーーーーーーーー
ーーーー
ーー
「いや、マジ‥‥偶然だよな‥‥?」
「本当かよ‥‥ラインク」
『えぇ‥‥‥‥?』
偶然にも程があるだろう、夢に出てくる程に気にかけていてくれたんだろうか。
コンコンコン
「失礼しますよー」
「んぁ? ツルナ‥‥か?」
「おや、やっぱり居ましたね!」
「どしたのツルナ?」
「いえ、ミナトさんの力についてまだ試し
たいことがありまして」
「またお前‥‥今忙しいんだよ、後にして?」
「え~、いいじゃないですか、今ちょうど
玄関で女子寮の女子達がいるから試そうと」
「あれ、何で女子達が?」
「あぁ、何かアリアスさんがミナトさんの
事を誰か先生に言ったらしいです」
「ハァ!!???」
「良かったですね、これで何とかなりま‥‥」
「オイ! 本当かそれ!!?」
ラインク君の顔色が急に白みを増す。
彼は焦った顔でツルナ君に迫った。
「え‥‥まぁ何か〝待ってる〟と言ってまし
たから、もう直で呼んでるのでは?」
「良かったなミナト君、これで大丈‥‥」
「ぶじゃない! ヤバい‥‥どうする!?」
一人だけ頭を抱え、カタカタと焦り出すリグフト君。
すっごい他人事のようだけれと、取り敢えず何とかなるようなので良かった‥‥。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます