星の味
まにゅあ
星の味
「地球っておいしいのかな?」
「え?」
「甘いのかな、辛いのかな、それともやっぱり海があるから、しょっぱいのかな」
どうやら彼女は、「地球は美味しいのか」と訊いているらしい。
「どうして地球を食べようと思ったわけ」
「んー、なんとなく?」
「ふーん。ところでさ、火星は
「へえ、そうなんだ。ためになる情報をありがとう」
「いえいえ、どういたしまして」
「金星はどうなのかな。木星は? 土星は?」
「どうだろう、僕は火星のことしか知らないから」
「それもそうか。また今度直接訊いてみるよ」
「それがいい」
遠くで彗星が一筋の尾を引いている。
「あれはどんな味がするのかな。食べてみようかな」
「食べ過ぎないようにね。この前体重が気になるって言ってたでしょ」
「ちょっと! 体重の話はしないで!」
彼女はぷんすかと怒りながらも遠くの彗星に向かっていった。
「どんな味だった?」
食べ終えて戻ってきた彼女に問うと、
「……雷の味がした」
「へえ、それはピリピリと痛そうだ」
「うん、ピリピリだったよ、イタイタだったよ……。しばらく雷はごめんだよ」
それはよかった。
「火星も雷があるから、ひょっとすると似たようなものかもしれないね」
「……火星を食べるのは、しばらくやめておこうかな」
「それがいい」
僕は立ち上がって、彼女に手を振る。
「じゃあね、――ブラックホールちゃん」
僕は、火星の化身。
火星を守るのが僕の仕事だ。
星の味 まにゅあ @novel_no_bell
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