あれ? 私、公爵令嬢でしたの?

真雪

(1)プロローグ

  仁衣菜にいなの家は、古いだけが取り柄の合気道道場だった。

 祖父と仁衣菜にいなの二人で暮らしている。

  仁衣菜にいなの父と母は交通事故で亡くなり、それからは祖父に引き取られ合気道道場の跡継ぎとして育てられた。


  仁衣菜にいなは合気道の筋が良かった為、小学校の友達と遊ぶ時間も削りながら鍛錬し、たった一人の肉親である祖父との時間を大切にしていた。


 時はあっという間に過ぎー。


 仁衣菜にいなが17歳の誕生日。

 道場は受講生登録が一人も居らず、道場は維持費困難の為修繕も出来ずに雨漏りしていた。


「あー! こっちも水が! おじいちゃんそっちは大丈夫?」


 祖父は茶碗を右手で置きながら、左手でバケツを置いていた。

「こっちは酷いな、屋根に登らないとダメだろうな」と祖父は言った。


  仁衣菜にいな

「私がやってくるね!」と、慣れた様子で百円ショップで買ったブルーシートを持って小走りしていく。


「はぁ~。神様、生徒さんを一人でも良いので下さい!!」と言いながら仁衣菜にいなは屋根へ向かってハシゴを登って行った。


 屋根へ一歩乗り出した瞬間のこと。


『ピカッドカーーーン』


 仁衣菜にいなは意識が無くなった。



「……。○▽△◇……?」

 仁衣菜にいなは明るい事が分かっていても目を開くことが出来なかった。

 そして、何だか寒いようだ。

 雨漏りの水に濡れたせいだろうか? と思うが肌に触れている布は乾いている。

「……▲✩▽‼(寒いなー!)」仁衣菜にいなは言ったつもりの言葉が、言えなかったことに驚いた。


 すると、頭の中に声が聞こえた。


「聞こえますか? 仁衣菜にいなさん。私はこの世界の神です。

 仁衣菜さんはカミナリに打たれた屋根から落ちて亡くなりました。

 ですがこの世界に必要とされて【ニーナ・カート】として転生することになりました」


 仁衣菜にいなは頭を抱えたかった。

だけれど、腕が動かない。

「何で?? 転生って? そして何で腕が動かないのー!?」


 神は言った。

「赤ちゃんですから。簡単に動きませんよ」

 神は笑いながら言う。


「赤ちゃんって! どう言う事???」


 神は言う。

「この世界に慣れる時間も必要ですし、まずは仁衣菜にいなさんに対応した身体を造らなければならなくてですね……」ともごもごと続けていた。


仁衣菜にいなさんにして欲しい事を考えると、通常の身体の規格では無理なんです。ギフトをいっぱい付けると、特別製の身体が必要でして。仁衣菜にいなさんは、この世界の魔法と相性が良く魔力が相当あるのです。それを活用して文明を進めて欲しいのです。必要な物はお付けしますから!」


 仁衣菜にいなこと、ニーナ・カートは思った。

 コレが級友達の言っていた【異世界転生】か! と。



┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅


【お知らせです】

7話まで、書くことに慣れず文字数が少なくなっております。


その後平均的な文字数かと思いますが、編集しようにも、ナンバーを降ってしまった為にそのまま続けております。

温かいお気持ちで呼んでいただけたら幸いです。

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