第60話 不死身の人間と戦うって事は...

セレスは再び魔王城に現れるとあたり構わず魔族に攻撃を仕掛けた。


「ファイヤーボム」


多数の魔族が炎に包まれ燃えて行く。


「貴様、卑怯だぞ」


「卑怯? 一対一の決闘の時に後ろから攻撃をした者達が言える事じゃないよね?」


無差別に剣を振り回した。


セレスの意思に反応するように剣が青く輝く。


そして、その剣に触れるとバターの様に魔族は斬れて行く。


「貴様、アルタは戦う力がない魔族だ、それでも襲うのか?」


「ふざけるなよ! これから人間は皆殺しにするんだろう? なら魔族は皆殺し、当たり前の事じゃないか? 魔神王が言ったんだ、これからは容赦しない、女も子供も皆殺しだ」


「許さんぞ、貴様、この魔戦将軍カルダが相手だ!」


「煩いよ、語る位なら手を動かせ...」


「ボルトーっ」


「何だ、簡単に燃えるじゃないか? その程度で将軍なのか? 人間の強者なら簡単に倒せるぞ!」





「大変です魔神王様、死んだはずの彼奴が攻めてきました!」


「馬鹿な、余が出よう」



「貴様、アンデットか?」


「知らないよ..そんな事はね!」


「お前は...魔族をここ迄殺して心が痛まないのか?」


「さっきまで僕は、仲良くしようと思っていた、だから魔王城に来るまで魔物も魔族も殺さずに来た、そしてそちらのルールに則って決闘した..なのに..人類を滅ぼすって言った上で卑怯な攻撃までしたんだぞ、皆殺しにすると言った者やその仲間は殺されても仕方ないだろう? 」


「言いたい事はそれだけか? 死ぬが良い」


魔神王から何かが飛んできた..そして僕は死んだ。


《何なんだ彼奴は、余が来るまでにこの被害はなんだ..人類とはあそこまで怖い物なのか?》




魔王の森近くの教会で目覚める


「ヒ―リスト マジックポーションを下さい」


「はいこちらにございます」


「ありがとう、お金に糸目はつけない、ありったけのマジックポーションを此処に集めて下さい..お金は王宮が全部払いますから安心して下さい」


「話しは聞いています..直ぐにご用意しておきます」


「行ってきます」




セレスは三度魔王城に現れた。


「随分と瓦解したもんだな」


「お前は、さっき魔神王様に殺されたはず!」


「地獄の底から蘇ってきたよ...魔族を殺せってな..」


そしてまた僕は魔族を狩った。


さっきよりも強い魔族は減っていたので楽だった。


殺して、殺して殺して殺して殺し尽くす..


「貴様、呪ってやる、絶対に殺してやる..」


「恨むなら魔神王を恨むんだな! だって人族を皆殺しにするそうだぞ? 殺すと言われれば弱くても抵抗するしかないだろう? お前の家族が僕に殺されるのは魔神王のせいだぞ? 魔神王がやると言っている事と僕がやっている事、何が違うんだ..同じじゃないか? お前らが殺しに来るから僕がさきに殺しに来るんだ」


「ならば、魔族が人間を襲わなければ.」


「知らんな! お前の考えでは止められないだろう? だから死ね!」



「貴様、殺しても何故死なない?」


「魔神王、貴様は殺す」


「安らかに死ぬが良い..レイスウオール」


僕はまた死んだ..


また、魔王の森近くの教会で目覚める


「ヒ―リスト マジックポーションを下さい 急いで!」


「はい!」


「ありがとう、ごくごくっ行ってきます」



115回死んだ。


だが、その頃になると魔王城は恐怖に包まれていた。


「また、彼奴が攻めて来るぞ..なぁどうすれば良いんだ..」


「もう、将軍クラスは全滅だ...ノーライフキングだってあそこまで不死身じゃないぞ」


「どっちが魔族なんだ..俺は家族が皆殺しにされたんだ..あれは悪魔だ」


「次来たら、どうするんだ、将軍が敵わない、騎士クラスじゃ時間稼ぎも出来ない..魔神王様なら倒せるけど、直ぐにまた襲ってくる..」



「さぁ、魔族よ、僕が死ぬか、魔族が滅びるか勝負だ」


再び、僕は虐殺を繰り返した。


そして


「貴様、今度こそ死ぬが良い..冥界暗黒派」


「再び、僕は戻ってくる、戻って来るぞ魔族..楽しみにしているが良いさ」


また僕は死んだ。



魔王の森近くの教会で目覚める


「ヒ―リスト マジックポーションを下さい 急いで!」


「はい!」


「ありがとう、ごくごくっ行ってきます」



僕が130回死んだ時魔神王は城の前で待っていた。


「おや、そう来たか?」


「ここで待っていれば、余がお前を殺せる! 最初からこうすれば良かったんだ!」


「あのさ、次に僕が此処に来ると思うのか? ここまで瓦解すれば軍を再編成するまで2~3か月は時間が掛かるんじゃないか? なら僕は2か月間別の場所を襲うとしよう? じゃあな魔神王!」


「待て!」


「待って下さいじゃないのか? 人族は魔族に対抗する手段がある...それを僕が証明したんだ、あの時と立場が違う!」


「待って下さい、これ以上魔族を襲わないで下され」


「何で、僕がそれを聞く必要があるのかな? 僕は和平を望み、慈悲を貴方に縋った、蹴ったのはお前だ!」


「それは、あの発言は取り消す..和平を和平を望むぞ..それなら良いのだな!」


「お前は僕がそれを望んだ時に何て言った..」


「......」


「蹂躙すると言ったよな? お前は王、いや神なのだ..その言葉の重みを考えるのだな!」


「解った」


「なら、この話は終わりだ..僕は全権を委任されている、和平交渉を進めよう!」


1.魔族は人間を襲わない

2.人間は魔族を襲わない

3.お互いの領土に関してはこれからお互いの文官同士が検証を行い境界を決める

4.境界には新たな街を作り、そこで交易をしていく。

5.その他の事はお互いの代表が話し合ってきめる。


こんな所だ。


「こんな感じでどうかな?」


「余には不服は無いが..良いのか? 実質敗戦国なのだぞ、魔族側は」


「平等が一番だよ..魔族は人間を殺した、僕は沢山魔族を殺した...これからはそう言った事を無くして幸せに暮らせる世界が..まぁ殺戮者の僕にはいう権利はないか」


「それは魔族側も同じだ」


僕が出来るのは此処までだ、後は国に丸投げだ..



しかし、気づかれなくて良かった...僕の能力には大きな欠点がある。


それは、「殺されずに監禁されてしまう」事だ...そうされてしまったら手も足も出ない。


それにき気づかれる前のスピード勝負...本当に余裕が無いのはこちらだ







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る