第58話 セレス 死す!

「人間よ、私はお前の様な者は嫌いではない、先手を譲ってやるから掛かってくるが良い」


ブレーブキラーは油断をした、勇者パーティーの一撃すら効かなかったこの体には何も通じない、その自信があった。


「解りました、それではいきます」


セレスは最初の一撃に全ての力を注ぐつもりで剣に魔力を込めた。


自身最強の魔法のボルトを剣に込めてそのまま斬り込んだ。


「ボルトースラッシュー」


多分この攻撃でも効かない..だがこれは意地だ..人類には牙がある..それを伝えたかった。


ズガーンッガガがガガー


「貴様、何をした、この私が吹き飛ばされる等、ありえない」


「僕はゆうしゃだ..お前などに僕は負けない!」


「ならば、私はブレーブキラー、勇者を倒した者、お前などに負けない!」


再び、剣に魔法を掛けて斬りつける..


「油断しなければそんな攻撃、私には効かない」


「そうですかね、その割にはそちらから攻撃が来ません..躱す事しか出来ないんじゃないですか?」


「何を!」


ブレーブキラーは素早く剣を振るった。


「その程度のスピードなら余裕で躱せます」


避けた体を回転させそのまま剣を振るった。


ガキーン


こちらの攻撃も効かない...


「その程度の攻撃は私には効かない、避ける意味も無い..」


戦えば、戦う程、相手の強さが解る。


だが、不思議な事に体の疲れはない。


「ならば、これだ!」


イメージするは鳥..頭上に飛び上がり頭上から斬りつけた。


キン


「この体には効かないな..」


《何だ此奴は..勇者たちなどより遙かに手強いじゃないか? 何者なんだ此奴は!》


ブレーブキラーは焦っていた。


こんな筈ではない..本来ならもうとっくに殺しているはずだ..だが此奴はまだ生きている。


「ならばこれでどうだ!」


体を立てに回転させその勢いで斬りつける。


「効かぬと言っているだろうが」


ブレーブキラーはそれすらも効かない..


だが、僕には手持ちはこれしかないボルトすら効かない以上はこれを続けるしかない。


どの位の攻防を繰り返してきたか解らない..とうとう僕も攻撃を受けただが..


「何だ、その程度だったんだ..それなら避ける必要はない、受けて立つ」


「お前、これに耐えるのだな..面白い、もう死ぬのも構わぬ、全部叩き込んでやる」






何だ、なんだ彼奴は、ブレーブキラー相手に互角だと。


そんな存在は余は1人しか知らない....そんな相手がこの世にいるとしたら「ゆうしゃ」しかいない。


彼奴がゆうしゃなら..魔族には敗北しかない。


「極限魔獄炎」


「えっ..」


油断した..巨大な炎が僕を襲った..そしてそのまま僕は....死んだ。




「魔神王様、これは一体、魔族の神聖な決闘を汚すような事を何故するのですか!」


「あの様な虫けらとの約束など守る必要などない..お前には失望したぞ、せっかく強靭な体に生まれ変わったのにあの程度とは..」


「それがいい訳ですか? あの者は正々堂々と私に戦いを挑んでいた、そしてあのまま行けば勝敗はどちらに転んだか解らなかった」


「ならば、どうすると言うのだ!」


「私が魔神王、お前に挑戦する...私とあの者は互角だった..それが私の..」


「もう、良い掛かって参れ」


「極限魔獄炎」


ブレーブキラーも同じ様に燃えている。


「これ程の力を持ちながら、貴方様は何故あのような...」


「答える気が無い..そのまま死ぬが良い」


《許せ、余にはあの者が「ゆうしゃ」に一瞬思えたのだ、「ゆうしゃ」だとしたら伝説では不死身の体を持っておる..あの程度で死ぬなら..それはゆうしゃでは無い》



「さぁ、これからは魔族の時代だ..これより」


「はぁはぁはぁ そうはいかないぞ、魔族ども僕が相手だ」


高々と声が響き渡った。

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