第57話 交渉決裂
僕は早速、魔王の森へと向かった。
魔王の城は何処にあるか解らない、そして魔族側との交渉なのだから極力魔物を殺さない方が良いだろう。
魔物との戦いを避けながら森を進む、けもの道を過ぎた所にそいつはいた。
恐らく、此処から道がある所を見るとこの先に魔王城がある可能性が高い。
そして、その姿は僕にはロボットとしか見えなかった。
何かに認識して動くのかも知れない。
「すみません、此処を通してくれませんか?」
「人間よ、此処を通ってどうするのだ...」
「私は人族の代表として此処に来ています、魔王城に魔王様と交渉に参りました、通して頂けないでしょうか?」
「そういう事であれば、案内をしよう...だが、魔王城には魔王は既にいない...偉大なる魔神王エルドラン様だくれぐれも粗相のないように行動されよ」
そのまま、案内を受け魔王城に着いた。
見た瞬間から解かるこれは戦うなんてとんでもない存在だ。
直ぐに僕は片膝をついて下を向いた、目を合わす事はしない。
「貴様が人族の代表か、許す面をあげよ」
静かなその声、だがその声からは明らかに逆らう事が出来ない絶対強者の雰囲気がただよっている。
僕は静かに頭を上げた。
怖い何てものじゃない..辺り一面、魔族の強者で埋まっていた。
その中でも、さっきのロボットの様な魔族と魔神王には到底敵わないだろう。
「はっ」
直ぐに顔を上げた。
「よくぞここまで参った人族の代表よ、お前達は魔族に対して何を望む!」
《何を答えれば良いんだ..》
「和平、平和を望みます!」
「うむ、だがな人族の代表よ今は勇者を失い、魔族に対する切り札が無い今..どのように交渉するのだ」
「それは魔神王様の慈悲に縋るしかありません」
「それは虫が良いのではないか? さんざんぱら魔物や魔族を狩り続けた...そんな人族が慈悲を求めるのか..」
「はい、恥を忍んでお願いします!」
「虫の良い話じゃ..抵抗手段が無いから降伏する..今迄散々魔族や魔物を殺してきた人族が慈悲じゃと..そんな物は余には無い...もし..死にたくないなら全力で戦う事じゃ..全て余が蹂躙してくれる」
《最早ここ迄か..》
「なら、人族がどのように動こうが戦争をするそういう事で宜しいのですか?」
「やっと解ったのか人族よ..呼び出したのは茶番じゃよ茶番..どんな話になろうと人族への侵攻は止めるつもりはない..さぁとっと帰るが良い!」
周りの魔族からは侮蔑の笑い声が聞こえる。
《もう終わりだな..なら勝てないまでもやるしか無いのか!》
「どうした? お前の命は保証しよう..とっとと帰るが良い..」
「なぁエルドラン...魔族は強ければ王になれると聞いた事があるが、それは間違いないか?」
「貴様、魔神王様にその口の利き方..万死に値する」
「ふざけんじゃない! 人族を滅ぼすというのなら敬意を払う必要はない..なぁ..聴いているんだよ? 魔族は力が全て、それで間違いは無いのか?」
「答えてやろう...魔族は力が全てだ、但しそれはこざかしい策でなく正面切って戦い勝てばの話だ、ゆえに人族のお前はこの場では一番弱い..それを聞いてどうするというのじゃ」
「人族は決して弱くは無い...エルドラン、お前に決闘を挑む!」
「無礼な..余が虫けらと決闘だと..余は慈悲深い、解った、もしお前が余が指名した者と決闘して勝利したならばその決闘を受けよう!」
「二言はありませんね!」
「魔神王の名に置いて約束しよう..さぁ ブレーブキラー..この人族と立ち会うが良い!」
「人族よ..私が相手だ..」
《此奴か?》
セレスは知らなかった...ブレイブキラーが勇者達を倒した事を。
ブレ-ブキラーは知らなかった....目の前にいる男が「ゆうしゃ」である事を。
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