第29話 最初の犠牲者

僕は異世界から来た。


名前はトシだ、苗字が元はあったけどこの世界では呼ばないのが普通なのでこのままトシで良い。


俺が引き当てたジョブは聖騎士だった。


最初このジョブを引いた時は大当たりだと思った。


だって聖騎士だよ? ライトノベルとかでは主人公格だ。


だが、これは中アタリで大当たりじゃなかった...


だけど、魔法が使える剣士だから凄くバランスが良い。


最初はパーティーを組んでいたけど....異世界人って凄くモテるんだよ。


このチャンスを逃すのは勿体ない..だから遠征に出たあとは仲間と組まずにソロで活動している。


そして、今日...俺は後悔する事になる。


俺は..正直いって勇者のパーティーに入れなかった時点で一線で戦うのを辞めた。


もっと下のジョブの奴らが戦っても余裕のある森や洞窟に潜って戦っている。


それでもこの世界の人間では手強い相手らしく...褒め称えられる..うんこれで良い。


今日も、いつもの様に騎士や魔法使いですら簡単に戦える場所で狩をしていた。


《あれは鎧騎士だ..余裕だな..ただ少し色が黒いようだが亜種だろう..亜種は強いらしいが精々が少し強い程度だ..充分狩れるな》


気が付かれないように静かに近づいた..


「ガガガ..」


「もう、遅い..一閃..」


「ガガがガガガ」


「キカヌ...シネ」


《そんな馬鹿な..一閃で傷一つつかないなんて》


あれっ..何で俺の剣と腕が宙を舞っているんだ....


《ヤバイヤバイヤバイヤバイ...逃げないと駄目だ》


痛いの我慢してひたすら走った、走って走って走った。


気が付くと俺は森を抜けて..近くの街に戻っていた。


助かった、そう思ったら痛みが増してきた..


「大丈夫ですか..大変だみんな来てくれ」


その声を聴いた途端に俺は気を失った。


《こんなの...聞いてねー...》


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