第8話 初めてのお仕事(ルルとメメ)

今朝は早くから冒険者ギルドに来ている。


流石は冒険者ギルドの酒場だけあって早朝から営業していた。


朝食をかき込むように食べて僕はギルドの受付にいった。


「昨日は登録有難うございました」


「貴方はセレスさんですね」


「覚えていてくれたんですね」


「はい、冒険者さんの名前を覚えるのも仕事の一つですから」


《あんだけステータスの低いのに冒険者になろうとする人はなかなかいませんからすぐに覚えましたよ、そして黒目に黒髪、嫌でも覚えますよ》


「ありがとうございます! 所で今日から仕事をしようと思うのですが、お勧めの仕事はありますか?」


「そうですね、見た所しっかりとした装備は持っていますから、薬草の採集か、スライムの討伐位が良いと思いますがお一人で行かれるんですか?」


「はい、仲間とかはいませんので...」


「そうですか、お一人で、正直心配でなりませんが」


「ですが、仲間も居ないし、こればかりはどうしようもないんで頑張ってみます」


「それなら仕方ない....あっルル、メメ、良い所に来たわ。今日も薬草の採集に行くんでしょう? 良かったら今日だけでもセレスさんを連れてってあげてくれないかな?」


「何でメメがそんな事しなきゃいけないのー」


「そうだよ、幾らソフィさんの頼みでもルルも嫌だよー、薬草の沢山ある場所は知られたくないから」


「ギルドから特別報酬を出すけど駄目かな?」


「「駄目」」


「そうか残念ね」


「だけど、何で新人の為にギルドが報酬出すの 珍しいじゃん? どこかの貴族のお坊ちゃんとか?」


「違います...本当に新人育成の一環です...仕方ないですねセレスさん頑張って」


「「ちょっと待って! 一緒に行くのはそこの兄ちゃん(お兄ちゃん)な(の)わけ」」


「そうだけど、駄目なのよね」


「そのお兄ちゃんならメメは良いかなー 」


「ルルも特別に引き受けるよ、特別報酬宜しくね!」


「だ、そうです、今日は初日だから、そちらのルルさんメメさんについていって仕事を覚えて下さい、彼女達も同じ石級ですが、もう新人の域は終わる所です、もうじき鉄級に上がるレベルですから学ぶ事は多いと思います」


「ありがとうございます! ですが、メメ先輩も ルル先輩も良いんですか?」


「メメ先輩...うん、メメは大丈夫、しっかりと仕事をおしえてあげる」


「まぁ、特別報酬も出るみたいだから、うんルルも引き受けたよ」


「ありがとうございます! 今日一日宜しくお願い致します」


「「宜しくねー」」


「ソフィーさんも有難うございました」


「これも受付の仕事ですから気にしないで下さい」


「それじゃぁ 行ってきます!」


「行ってらっしゃい!」


にこやかに送り出されて僕はこの世界で初めての仕事へ出かけた。


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