第10話 土産物


いつもの佐和さわ商店。

俺は、カウンター内で温泉饅頭の包みを解いているすみちゃんを見ていた。


「へぇ、温泉ね〜」

「良い温泉でした」

盆休みで両親と温泉旅行に行ったらしいすみちゃんが、佐和商店にも土産の温泉饅頭を買って持って来てくれたのだ。本当、律儀な娘。

で、俺にも個別に土産を手渡された。

礼を言いつつ紙袋から出してみれば。それは、修学旅行生が買うような金色の龍の日本刀キーホルダー。ちゃんと鞘から抜けるタイプ。割とちゃんとした作りだ。

「こういうのまだあるの」

「榊さんぽいな、って」

「俺のイメージどうなってんのよ」

真顔で言うすみちゃんに抗議したら、珍しく来てた店長に爆笑された。

店長は覚えてろよ?


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