第46話 ゴブリンへリベンジする?

 冒険者ギルドにて。

 張り出されたクエストを3人で眺める。


「色々あるけど俺たちが出来そうなのは意外に少ないね」


「お兄ちゃん、これは?」


 パパレは1枚のクエストリストを差し出してきた。


「なになに? えっと、ドラゴン討伐‥‥‥いや、無理でしょ」


 パパレが持ってきたのはゴブリンの森にいるドラゴン討伐クエストだ。いずれ倒したいが、今の俺たちでは秒殺されてしまいそうだ。ドラゴン討伐と聞いて、近くにいたベテランそうな冒険者が話かけてきた。


「君たちドラゴン討伐クエストを受けるのかい? ちょっと見せてごらん? あー残念、これは今は受けられないよ」


「えっ、そうなんですか?」


「ここに8時間という文字が浮かび上がってるだろ?」


「はい、ありますね」


「これはあと8時間経たないとクエストを受けられないという事なんだ。ちょうど今、誰かが受けたばかりだな」


「へぇ、そうなんですね。アドバイスありがとうございます」


 そういえば、1番最初にアグライアさんにも制限付きのクエストがあると教えてもらった気がする。やはりゴブリンの森のドラゴン討伐クエストも1組ずつしか受けられないという制限があるようだ。

 しかし、今すぐに受けるわけではないので、問題はない。


「パパレ、元あったところに戻してきて。間違ったところに置いてきたらダメだよ」


「パパレちゃん、私も一緒についていくよ。返しに行こうね」


 ルージュちゃんがパパレについていった。以前、初心者パーティーを全滅させてしまったルージュちゃんだけにやはり心配なのだろうか。パパレ1人では心配だが、元冒険者ギルドで働いていたルージュちゃんに任せておけば大丈夫だろう。

 俺はその間にクエストリストを物色してみる。しかし所詮はレベル5冒険者。都合の良い良いクエストは見つからない。


「まとまって魔物がいる場所は、やはりゴブリンの森か。これはゴブリンと勝負する運命! 今度は油断せずに多様化ゴブリンたちを俺たちだけで倒す! ゴブリンども強くなった俺たちを恐れるが良い!」


 以前より多少は強くなった俺は再びゴブリンに挑む事にした。



 ◇



「ルージュちゃん、パパレ。このゴブリン討伐クエストはどうかな? ギリギリいけると思うんだけど」


「うん、初心者パーティーでも受けていたし良いと思うよ。『メイメイ』の近くにゴブリンがたくさんいるみたいだね」


「そうなんだよ。油断すると囲まれてしまうよ。ルージュちゃんは人気があるから気をつけてね」


「えっえっえっ、人気があるって何かな」


 俺は前回の変態ゴブリンの事を思い出しながら、ルージュちゃんに注意を促す。


「ゴブリンなんかパパレがいるから大丈夫だよ」


「いや、油断してはいけない。パパレ狙いのゴブリンもいるから注意するんだよ」


 ロリコンゴブリンの事を思い出しながら、パパレにも注意を促す。


「俺も油断はしない。色々なゴブリンがいるからね」


 俺は多様化ゴブリンの事を思い出しながら、自分自身を戒める。

 そんな感じでゴブリン討伐をしようと思ったのだが、『メイメイ』に行くには馬車に乗らなければならない。せっかく馬車に乗るならこの際、王都まで行っておこうと思う。


「ルージュちゃん、パパレ。途中の街『メイメイ』に寄って、ついでに王都『ライナライナ』まで行くよ。ゴブリン討伐はその後にしよう」


「えっ、王都まで行くの?」


「そう、せっかく馬車に乗るから王都の神殿まで行って〈次元の神秘〉で転移できるようにしておこうかなと思って。その方が便利そうだし」


「そうだね、転移できるようになったら便利だよね」


「パパレは王都は小さい時に行ったきりだよー、楽しみっ」


「パパレは今も小さいけどな」


「え、じゃあお兄ちゃんは昨日の夜、小さいパパレを見て『はぁ、はぁ』言いながらお布団をかけ直してくれたの? お兄ちゃん、ロリ‥‥フガっ」


 こ、こいつ。いつも気がついているな。


「そんなわけで明日の朝から王都へ向かうから2人とも準備しておいてね。ちょっと早いけど今日は解散しよう。パパレは『ポメポメ』の家に一回、帰る? 転移で送って行くよ」


「うーん、今日は『ポメポメ』に帰ろうかなー。お兄ちゃん、明日の朝、パパレを迎えに来てくださいっ」


「OK。明日パパレを迎えに行ったあと、ルージュちゃんの家に行くね」


 俺はパパレを『ポメポメ』を連れて転移したあと、『ヨイヨイ』に戻り宿屋『踊るトカゲ亭』へ1人で宿泊した。

 俺はパパレと一緒だった時は控えていたルービーを夕方から飲み始めてしまった。美味かった。そして二日酔いになった。



 ◇



「お兄ちゃん、お酒くさいー」


「すまない。酒臭い俺に触れたくはないと思うが、転移のために少し触れてくれ」


「ええええ、仕方ないなー」


 パパレがちょこんと俺に触れる。嫌そうだ。

 ルージュちゃんの家に到着。ルージュちゃんが出てきた。


「えっ、シンヤ君、お酒臭いね。えっえっえっ」


「ごめなさい。二日酔いに効く薬草はないでしょうか? あと動悸、息切れに効く薬草も」


 俺は10種類ほどの薬草を購入した。

 馬車では2人と離れて最後尾の席に座り途中の街『メイメイ』まで寝て過ごした。空いている馬車で良かった。







〜あとがき〜

 ここまでお読みいただきありがとうございます。続きを読んでもいいかなと思いましたらフォローを貰えると嬉しいです。またハートやお星様を貰えると執筆の励みになりますので、どうぞ宜しくお願い致します。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る