第42話 帰ってきたピンクの髪色

 ルージュちゃんをパーティーメンバーにするために冒険者ギルドへ向かう。冒険者ギルドへ到着、3度目なので迷うことなくニーナさんへ話しかけ、パーティーメンバー候補を紹介してもらう。


「はいはい。アグライアさん、リチャードさん、アインさん、ライデンさん、ルージュちゃんの5人ね」


 毎度お馴染みの候補者5人だ。その中から当然ルージュちゃんを選択する。その他の4人は前回、変態&ロリコン&多様化ゴブリンから救ってもらった人たちだ。皆とても良い人たちだった。


 ニーナさんに手続きをしてもらった後、ルージュちゃんをパーティーメンバーにするためにルージュちゃんの家である薬草屋『ココ』へと向かう。俺は以前の記憶があるので前回のように慌てる事はないはずだが、ルージュちゃんはまた慌ててしまうのだろう。


 『薬草屋ココ』というポップな看板が掲げられたお店の前に到着した。

 俺は前回のように躊躇する事はなく、軽やかにお店のドアを開ける。

 俺の好みどストライクの可愛い娘がいる事は分かっている。もう俺は動揺しない。



「いらっしゃいませー」



 いた。ルージュちゃんだ。

 ん?! しかし何か雰囲気が違う。以前はピンクの髪色をしたセミロングだったはずなのだが、ふんわりとしたミディアムに髪型が変わっている。今の髪型の方が似合っていると思う。俺はこっちの方が好きだ。

 俺は前回のルージュちゃんがどストライクだと思っていたのだが、今回のルージュちゃんはどストライク中のどストライクだ。俺は動揺した。


「あ、あ、あ、あの、えっと。あの、ピ、ピ、ピンクの髪が、み、み、短くなってる。に、に、似合ってる。いや、えっと、あの、髪型は関係なくて。あわわわわわわ」


 〈才器の光彩〉無しにも関わらず、少し髪を切っただけで俺をここまで動揺させるとはさすがはルージュちゃんだ。やはり俺はルージュちゃんにとても弱い。

 ルージュちゃんからすると初対面の不審な男に髪型が変わっているなどと言われて、さぞかし気持ちが悪い事だろう。ストーカー認定されるに違いない。このままではマズイので今回も薬草の力を借りてキリッとした表情で言う。


「神界の仕事人のシンヤです。冒険者ギルドのニーナさんから、パーティーメンバーについての連絡があったと思うのですが、ルージュさんですよね?」


「えっえっえっ、し、し、神界の仕事人さんですか??? わ、わ、わ、私をパーティーメンバーにするって、ほ、本気だったんですか??? えっえっえっ、私なんかを?! えっえっえっ」


 やはりルージュちゃんは動揺した。その後はやはり前回と同じく動揺したお母さんが奥から出てきた。そしてお母さんからルージュちゃんの失敗談を聞く事になる。

 前回と同じような話を一通りした後、ルージュちゃんは覚悟を決めたように言った。


「私、頑張ります。神界の仕事人さんと冒険に行きます!」


 ルージュちゃんの「私、頑張ります」、その言葉が本物だという事を俺は既に知っている。





 やる気満々のルージュちゃんにレアスキルを身につけてもらった。

〈仁恕の回復〉〈才器の光彩〉のレアスキルを2つだ。


〈仁恕の回復〉を身につけてもらったところで、忘れずにやっておくことがある。


「ルージュちゃん、練習で回復スキルを使ってみようか」


 ルージュちゃんに回復スキルを使用するよう促す。


「うん、分かったよ。回復スキルだね。あれ? これは? えっえっえっ、シンヤ君。ス、ス、スキ、スキルの名前が読めないよ。なんて読むのかな?」


 俺との記憶はなくなっているので、ルージュちゃんやはりスキルの名前が読めない。このせいで前回の俺は一角ウサギ戦で死にそうになった。ここで読み方を覚えてもらえば、後々色々な意味で死にそうになる事はない。


「じ・ん・じょ・の・か・い・ふ・く、だよ」


「じんじょのかいふくって読むんだね。練習して良かったよ。戦っている途中に読めないと困っちゃうもんね」


「全くその通り」


 俺は心からそう思った。


 聖女を目指して欲しい気持ちもあり〈才器の光彩〉も身につけてもらった。俺は〈才器の光彩〉を取得したばかりでキラキラしているルージュちゃんを見ると死にそうになってしまうはずだが、怖いモノ見たさでチラッとルージュちゃんを見てしまう。


「ふぅ、ふぅ、はぁ、はぁ」


 やはり危ない。ピンク髪のふんわりミディアムヘアになったルージュちゃんが〈才器の光彩〉のスキル効果を得て、キラキラしまくっている。俺に対する専用兵器なのだろうかとすら思う。命の危険を感じた俺はしばらくルージュちゃんを見ずに外を眺めた。

 俺が外を眺めている間にルージュちゃんにはノーマルスキル〈氷弾〉も覚えてもらった。


 ルージュちゃんがメンバーに加わった。次はパパレだ。

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