第3話 スキル本、使用!

 俺は獲得したスキル本の内容を確認してみた。


レアスキル本

【物理レアスキル】〈堅牢の総身〉

 30分間敵の物理攻撃を無効にする


ノーマルスキル本×9

【物理スキル】〈烈風斬〉剣先から真空の刃を繰り出す

【魔法スキル】〈火球〉火球を放出する

【魔法スキル】〈氷弾〉氷弾を放出する

【魔法スキル】魔法攻撃力+5%アップ

【物理スキル】物理防御力+5%アップ

【物理スキル】物理防御力+5%アップ

【特殊スキル】HP+5%アップ

【特殊スキル】幸運+5%アップ

【特殊スキル】幸運+5%アップ


 今回のレアスキル本は物理系の防御スキルだった。ボス戦には有効そうだが、普段使いには向かない気がする。少し地味なスキルに感じるが、どうなのだろうか。

 その他に目に付くところだと、ノーマルスキル本ではあるが〈烈風斬〉は当たりかもしれない。遠距離攻撃が出来そうで使い勝手が良さそうな気がする。

 攻撃魔法と思われる〈火球〉と〈氷弾〉も楽しみだ。

 そして、どうやら名無しのスキル本がハズレ枠のようだ。


 説明を見ただけではよく分からないので、さっそく全てのスキル本を使用してスキルを身に付けてみる事にした。


「スキル本、使用!」


 そう言葉を発すると、手元にあった10冊のスキル本が輝き出し、身体に吸い込まれていく。

 これだけでスキルが身に付き、使用できるようになるのだ。なぜスキル本の使い方が分かるのかというと、スキル本の最終ページに使用方法が書いてあったからだ。

 あの運営にしては親切だ。


 スキルを覚えた俺は今の〈ステータス〉を確認してみる。


冒険者シンヤ

【レベル】1

【HP】53+

【SP】35

【物理攻撃力】15

【物理防御力】17+

【魔法攻撃力】16+

【魔法防御力】15

【魅力】15

【幸運】22

【スキル】堅牢の総身、烈風斬、火球、氷弾


 これが俺の〈ステータス〉か。数値を見たところでよく分からないのだが、ただの冒険者でレベル1なのでとても弱いことは間違いない。それでも【スキル】を4種類も覚えたのは、初めての事だ。


 初めてレアスキルを身につけたのだが、このレアスキル〈堅牢の総身〉が当たりスキルかどうかは分からない。


 俺はここまで続けてきたリセマラの中で、この世界の冒険者なら有用なスキルを知っているだろうと思って色々と質問してみたのだが、どの冒険者も自分の持っているスキルの自慢話ばかりで、信用できる話は少なかった。


 神官のアメリアさんにも質問してみたが「どれも素晴らしいスキルですよ」と当たり障りのない答えで、これまたよく分からなかった。


 ただ、色々な人に話を聞いて分かった事は【神界の本棚】は利用券さえあれば誰でもスキルを得られるので、1つのスキルで世界を変えられるようなチートスキルはないようだった。


 俺は結局、信じられるのは自分だけという事で、当たりスキルかどうかは自分自身で使ってみるしか方法がないという結論に達した。





「さて、スキルを覚えたのはいいけれど、これからどうしたらいいんだ?」


 俺はそう呟き、途方にくれた。

 俺は今まで【神界の本棚】を利用して、その結果がノーマルスキル本10冊だと確認した瞬間に〈存在削除リセット〉していたので、ここから先の事が分からない。そこで俺は一旦、神殿に戻り神官のアメリアさんに聞いてみる事にした。


「そうですね。それでしたら冒険者ギルドに行ってみるのが良いと思いますよ。場所は分かりますか?」


「はい。覗いてみた事はあるので分かります。じゃあ冒険者ギルドに行ってみる事にします。ありがとうございます!」



 ◇



 俺はアメリアさんのアドバイス通り冒険者ギルドへと向かった。


 神殿から冒険者ギルドは、ほど近い。大通り沿いに出て右に曲がると、一際大きく立派な建物が見える。それが冒険者ギルドだ。

 木造3階建の建物で出入り口となる大きな扉は開いたままになっており、多くの冒険者が出入りをしている。


「確かあれが冒険者ギルドだったよな。今日もたくさんの人が出入りしているな」


 俺もその人の流れに乗り冒険者ギルドへと入っていく。1階でクエストの受付が出来るようで、多くの冒険者でごった返していた。

 ワンフロアの1階にはいくつもの受付があるため、俺が戸惑っていると冒険者ギルドの職員らしき女性から声をかけられた。


「冒険者ギルドのニーナと申します。何かお困りですか?」


 初めてで困っていると伝えると、2階にある初心者用の窓口に案内された。2階は人も少なく落ち着いた雰囲気で、いくつかの相談窓口があるようだ。その中の1つの窓口へ案内された。


 まずは個人情報を確認したいとの事で、言われるがままに水晶玉に手をかざす。すると、モニターに俺の情報が表示され、その情報を見たニーナさんが驚いた。


「えっ、シンヤ様は神界の仕事人様だったのですか! 初めてお会いしました。慈愛の女神クレア様の仕事人様なのですね」


 神界の仕事人?! なんなんだ、それは。

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