第22話 神域遺物の収集、気ままな一人旅#03

「……迷った?」


 ツムギは森の中で呟く。


「ここは何処でしょう……」


 気ままに旅をするツムギは気付くと森の中に迷い混んでいた。


「あ、何かあるわ」


 迷っているのに適当に歩き続けていると洋館のような建物を発見する。


(行ってみるか)

「そうね」


 ツムギは進路を洋館のような建物へ向けて歩いていく。


「いや~それにしてもまさか、ここが迷いの森とはね」

(整備された道を外れてた時から迷うと思ってた)

「隠しダンジョンとか在るかな~、って思ったのよ」

(思いつきで行き先変えるのやめろよ)

「まぁまぁ……そのおかげで面白そうな物見つけたみたい」


 ツムギの視線の先にあったのは生活感の無い屋敷。森の中に在るのだから当然かも知れないが、人の気配はない。代わりに別の気配をツムギは感じていた。


(まさか本当にダンジョンか!?)

「だよねぇ。じゃ行ってみる?」

(その前に使う神域遺物レリックを決めとけ。前みたいに、戦闘に入ってから選んでたら、苦戦するぞ)

「使うのは決めてるわよ?『十二星座の王と巫女』初版の魔導書。これなら大抵は対応できるわ」


 そう言うとツムギは魔導書を取り出しポケットへ入れると、門をくぐり屋敷に足を踏み入れた。

 門の先は広い庭だった。その広い庭は長年手入れがされていなかった事を証明するように物凄く荒れていた。そんな庭を通り抜け屋敷の入り口に立つ。


「ふぅ……開けるよ」


 屋敷の扉を開け中に入る。中は灯りが付く筈もなく薄暗いが支障はない程度には見える。入って直ぐが広間になっていて、上に続く階段があった。ツムギは取り敢えず一階を探索する事にする。屋敷の中は外ほど荒れた感じではなかった。


「思ってたよりキレイね」


 ツムギは屋敷を探索しつつ、庭ほど荒れていない室内を見て率直な感想をもらす。


(ほぅ……西洋甲冑か)

「鎧でしょ?」

(まぁ、そうだが……ん?)

「どした?」

(……いや、気のせいだ。先に進もう)



           ◆◇◆◇◆



 しばらく探索を続けるがモンスターと出会うこともなく、広間の階段前まで戻ってくる。


「上に行ってみましょう」

(そうだな……ん?)

「あれ?」


 ツムギは階段を見上げる。そこには甲冑が立っていた。


「初めは無かったわ」

(……見間違いじゃ無かったようだ)

「何が?」

(甲冑が動いた気がしたんだか、確証もなくて……)

「と言うことは……モンスターね!」


 ツムギが言うと同時に甲冑は剣を構え、ツムギへ向けて斬りかかる。

 ツムギは即座にポケットから魔導書を取り出し開くと能力の解放を行う。


「ライブラ!」


 能力の行使が間に合い、甲冑が地に伏すように階段を音を立て滑り落ちてくる。


解析アナライズできた?」

(多少は。まぁ、ラプラスの)

「K。手短に。重力で押さえ付けるの、結構魔力使うわ」

(最後まで言わせろよ……まぁそりゃ、動けなくなるほどの重力で押さえ付け続けると、そうなるだろうな)

「早く!」

(あれは自動人形、ゴーレムだ。倒す方法は核を破壊するだな)

「ゴーレム、ね」


 下まで落ちてきた甲冑ゴーレムは重力に逆らい立ち上がる。それを見てツムギは本を閉じ重力の使用を止める。


「アリエス!リフレクション!」


 代わりにアリエスのページを開き、鏡の様な壁を甲冑ゴーレムを囲むように展開させるツムギ。

 重力から解放された甲冑ゴーレムは体勢を立て直すと、再びツムギを捕捉し動き出す。


「クラッシュ!!」


 ツムギの発声と同時に壁が一気にゴーレムへと迫り閉じ込めたかと思えば、そのまま小さくなっていく。


(反射で逃げ場無く囲み圧縮する……エグいな)

「そうかしら?」

(開けてみればわかる)


 ツムギはリフレクションを解除する。壁が無くなりそこから現れたのは圧縮された鉄の塊だった。


「倒した?」

(……鑑定結果、上質な鉄だと。討伐完了だな)

「じゃあ鉄の塊は戦利品に貰って、今度こそ二階へ行こうか」


 そう言ってツムギは魔導書をポケットへしまい、二階の探索を始めるのであった。

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